研究課題/領域番号 |
24760346
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
久保 善司 金沢大学, 環境デザイン学系, 准教授 (50324108)
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キーワード | コンクリート / アルカリ骨材反応 / 凍結防止剤 / 複合劣化 |
研究概要 |
25年度は,昨年度実施した外観目視を中心とした事前調査による凍結防止剤の影響を受けた劣化構造物の劣化程度のグレーディング,構造物から採取したサンプルの塩分分析結果の分析結果に基づき,外観グレーディングと凍結防止剤の影響度の関係について統計解析手法を用いた分析を行った.その結果,凍結防止剤の影響度の相違によって,塩分浸透状況の相違の特徴として水分率等の補足情報が有用であるとの知見を得た. これらの結果を受けて,アルカリ骨材反応および凍結防止剤の両者の影響を受けている劣化構造物の外観調査,および表面水分率調査を実施し,実構造物におけるアルカリ骨材反応による劣化程度および凍結防止剤の影響度の異なる劣化構造物および劣化箇所の選定を行った.凍結防止剤のみの場合と,アルカリ骨材反応による劣化と複合した場合の劣化進行およびそのメカニズム解明のための分析調査対象箇所の選定を終えた. 他方,室内試験においては,塩害およびアルカリ骨材反応による複合劣化を想定した供試体作製のために,骨材の選定,配合の決定等を行い,アルカリ骨材反応による膨張を生じるコンクリートを作製し,その膨張特性を把握した.鋼材拘束下における短期間で有意な膨張を得るための促進条件についても確認を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度の実績に基づき,実構造物における凍結防止剤の影響に関して統計的手法を用いて、その影響度に関する基礎的知見が得られている.これらの知見に基づき,アルカリ骨材反応および鉄筋腐食による複合劣化を受けた構造物における凍結防止剤による影響の異なる構造物および箇所の選定を行うとともに,選定箇所の水分率調査も実施した.本研究目的であるアルカリ骨材反応および鉄筋腐食の複合劣化現象の解明のための調査箇所の選定が行うことができ,次年度における分析調査によって,実構造物における複合劣化現象の把握が可能となった。 他方,室内試験においては,コンクリート材料および配合等, 促進条件などの決定を行い,26年度研究実施のための諸検討を終えた. 上記のとおり,26年度研究実施のための準備を終えていることから,研究は順調に遂行していると判断される.
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今後の研究の推進方策 |
24年度のおける凍結防止剤の影響に関する室内試験および現地調査の結果,さらに,25年度における実構造物における凍結防止剤の影響度に関する検討結果を踏まえ,25年度に膨張性状を確認したコンクリート配合で,アルカリ骨材反応によるひび割れを生じ得る供試体を作製し,それらの鉄筋腐食特性を把握する. さらに,室内試験で得られた知見に基づき,上記の供試体に凍結防止剤を想定した塩化物イオンの浸透実験を行い,アルカリ骨材反応および塩害の複合劣化における鉄筋腐食特性を把握する. 他方,現地における複合劣化を受けている構造物の塩分浸透状況,鉄筋腐食状況,凍結防止剤の影響度評価などを行い,複合劣化の解明の諸情報を得るとともに,その要因分析を行う.室内および現地試験の結果を総合的に検討を行い,凍結防止剤散布地域におけるアルカリ骨材反応と鉄筋腐食の複合劣化現象の解明を行う.
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