研究課題/領域番号 |
24760353
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研究機関 | 苫小牧工業高等専門学校 |
研究代表者 |
渡辺 暁央 苫小牧工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (00422650)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 塩害 / 凍結防止剤 / 毛管現象 / 細孔構造 |
研究概要 |
本研究は,凍結防止剤によるコンクリートの塩害劣化に関する研究である.通常の塩害研究では,塩分浸透は1次元のみで扱っているが,本研究では塩分供給の境界付近における2次元の塩分浸透過程を明らかにする.そのため,コンクリート供試体を作製して,供試体の暴露面の半分について定期的(週に1日)に塩水を供給させる.このとき,塩水供給面と乾燥面との含水量(水分率)の相違を測定し,コンクリートの含水状況と塩分浸透に関する関係について検討した. 寸法が高さ 600mm×幅400mm×厚さ120mm で,W/C=55%のコンクリート供試体を打設した.供試体の型枠脱型面(600mm×400mm の面)の半分に濃度3.5%の塩水を流下させる装置を作製した.塩水の流下頻度は,1 日の塩水流下と6 日間の放置(室内での自然乾燥)を繰り返すものとする.塩水流下実験開始後は,塩水流下停止後に外観観察を実施するとともに、塩水流下の境界付近での数ヵ所において,ドリル法によりで粉末試料を採取し,JIS A 1154 に従い塩分濃度試験を実施した.なお,塩分浸透の経時変化を比較するために,1 か月,2ヶ月および3 ヶ月の3回の試料採取を行った. 塩水を流下させた場合,1 回の流下後からすぐに白華現象は見られた.その後も濡れの範囲は徐々に拡大していき,白華現象もそれに伴い外側(乾燥側)に移動した.白華そのものも幅広く,厚みのあるものへと変化していた. 塩水流下による塩化物イオンの浸透量は,塩水流下部と塩水流下境界内側ではほぼ同じであった.一方,塩水流下境界外側では白華が発生している表面の部分だけでなく,20mm-40mm の深さでも塩化物イオンが多く浸透していることが確認された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度,校舎改修工事が実施され,これにともない実験ができない期間が発生したこと,および,改修関連業務による研究時間の短縮を余儀なくされたため,計画より遅延が発生している.
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究では,これまでの実験的検討の継続を行うとともに,並行して,コンクリート中の細孔構造の観察を行う.細孔構造の観察では,研究計画に基づき,SEM-BEIによる観察および画像解析を実施する.これまでに樹脂含浸装置の構築,および鏡面研磨装置の導入により,本研究機関での予備的実験は終了している.そこで,本格的な供試体を使用した試料作製および観察・評価を行うこととする. また,毛管現象の評価のために,温度および湿度を管理した養生室において,塩水流下試験を行い,コンクリート表面および内部の湿度測定を行い,実験的検討を年内を目処に終了させる予定である. その後,凍結防止剤を想定したコンクリート中の塩分拡散について検討を行い,本研究目的である塩害劣化予測を行うものとする.
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次年度の研究費の使用計画 |
残額が\5,215-であり,物品購入に関しては,ほぼ計画通りの執行ができた.初年度は研究環境整備にほぼ全額を使用し,次年度の研究環境はほぼ完璧に整備された.現在,研究進捗状況は,計画より達成度が低い状況であるが,次年度に研究人員を集中的に投入して挽回する予定である.そのため,研究費の使用計画は,実験補助の謝金等に多く割くとともに,研究成果発表のための旅費等に使用する予定である.
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