研究課題/領域番号 |
24760361
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
武川 順一 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (70463304)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 粒子法 / 強震動シミュレーション / ダブルカップル震源 / 表面波 |
研究概要 |
粒子法を用いた新しい強震動予測シミュレータの開発を目的とし,主にシミュレーションコードの基礎的な部分について開発をおこなった。まず,地震の震源であるダブルカップル震源を粒子法シミュレーションに取り入れることを目指した。粒子法では差分法のような規則的に配置された計算格子が存在しないため,影響半径を用いた近傍粒子選択を導入し,ダブルカップル震源の再現を試みた。本研究で得られた結果と,従来法より得られた結果を比較したところ,本研究の結果は従来法のものと良い一致を示した。これにより,本研究で提案する粒子法でダブルカップル震源を扱えることが示された。また,強震動予測をおこなう上で重要となる表面波伝播の再現性を解析解と比較したところ,粒子法により精度よく簡便に表面波伝播が計算できることが示された。以上の成果をまとめたものが,「Geophysical Journal International」誌に掲載された。 続いて,山や谷といった複雑な地表面をどれだけ正確に再現できるかを調べるため,任意形状を有する地表面を伝播する表面波の再現精度について詳細な検討をおこなった。その結果,地表面を表現する際の粒子配置が再現精度に大きく影響することを明らかにした。また,従来法であるRotated Staggered Gridを用いた差分法による結果と比較したところ,本研究による手法はより良い精度で表面波の伝播を計算できることがわかった。以上の成果をまとめたものが,「物理探査」誌に受理され,2013年4月号に掲載される予定である。 また,上記の研究で明らかになった粒子法の特徴として,従来法より計算コストがかかることが挙げられる。平成25年度では,この点についても取り組む必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究目的として挙げていた粒子法へのダブルカップル震源の導入を試み,それに成功した。また,粒子配置による地震動伝播の再現精度についても詳細に調べ,本手法が従来法よりも精度良く計算できる可能性を新たに発見した。これらの項目は,実務レベルで本手法を使用する上で非常に重要な検討項目であり,それらが特に大きな問題もなく遂行されたことは意義があると考える。 一方で,従来法より多くの計算コストが必要であることが明らかとなり,実務で本手法を使用する上ではこの点にも取り組む必要があることがわかった。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度の研究進捗状況は概ね順調であったため,今後は当初の予定通り,現実的な地盤モデルを取り入れた地震動シミュレーションに挑戦する予定である。また,平成24年度の研究で明らかとなった計算コストの問題についても,平成25年度の研究で取り組む予定である。具体的には,差分法のようなスタガード粒子を用いることで,この目的を達成する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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