研究課題/領域番号 |
24760370
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研究機関 | 独立行政法人土木研究所 |
研究代表者 |
中尾 尚史 独立行政法人土木研究所, その他部局等, 研究員 (50514171)
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キーワード | 津波 / 橋梁 / 水路実験 / 流出防止システム |
研究概要 |
研究2年目となる平成25年度は,津波による橋桁の挙動を解明することを目的として,橋桁に作用する津波外力の作用メカニズムを水路実験および数値解析により検討した. 実験は1/100スケールの水路模型を用いて実験を行った.本実験では,桁下を変化させた場合の津波外力の作用メカニズムを検討するために,初期水深を0mm,20mm,40mmにし,桁下を10mm~60mmに変化させた場合の橋桁に作用する津波外力を計測した.その結果,桁下高を大きくすると,津波外力は小さくなることがわかり,初期水深が小さくなると,津波外力は大きくなることもわかった.また,初期水深が高く,発生させた津波が小さいときは,外力は増加減少を繰り返すこともわかった. 数値解析は,流体解析手法の1つである,格子ボルツマン法を用いて実験の再現計算を行った.実験装置を1×1格子でモデル化を行い,実験と同様に水柱を崩壊させて実験を再現した.その結果,長方形断面において,模型周辺の流れの様子を再現することができた.また,他の解析手法では計算が困難であった,模型下面の負圧を再現することができた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
25年度に行った実験により,橋桁に作用する津波外力の作用メカニズムを把握することができ,得られた知見を基に,26年度は橋桁の補強方法等の津波対策に関する検討を行うことができる.解析については,現況としては橋梁周辺の流況の再現性を検証できた段階であるが,今後は橋梁に作用する圧力等を再現検証し,実験同様に津波対策の検討を行う予定である.また,研究成果も公表しており,研究は概ね順調に進展していると考えられる.
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今後の研究の推進方策 |
26年度は,前年度までに得られた知見を基に,実際にどのように流出防止ケーブルを設置するか,流出防止ケーブルを設置することにより橋桁の耐力はどれだけ向上するのか,また,流出防止ケーブルを設置したことによる影響(橋梁のどの部分が弱点になるのか)を,水理実験や数値解析により検討を行っていく.また,24年度の津波外力を低減させるために用いた小型の流れ制御板(津波外力低減対策)を取り付けた場合の橋桁に与える影響について,数値解析により検討する予定である.
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次年度の研究費の使用計画 |
当初は模型を支持する装置を作成する予定であったが,一部の装置はこれまでのものを使用することができ,また模型についても,1セット作成することで実験を実施することができ,そのために未使用分が発生した. 今年度は,水理実験では橋梁部材に作用する圧力等を計測する.数値解析では,格子ボルツマン法を用いた流体解析を行い.これらの結果と,これまでに得られた知見から,津波作用力の発生メカニズムを総合的に解明する.また,津波による被害状況から,側道橋が存在した橋梁では,側道橋は流出したが,本橋は流出を免れた橋梁があったことを参考にして,4主桁断面模型よりも津波作用側に側道橋を模擬した模型(水管橋のような構造も含む)を取り付けて,津波作用時の4主桁断面模型の挙動について,実験や解析により検討を行う.
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