研究課題/領域番号 |
24760374
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
森 友宏 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (40552394)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 造成宅地 / 地震防災 |
研究概要 |
本研究における平成24年度の研究予定は,模型地盤振動実験を用いた地盤亀裂発生に関する各種要因の検討と,不飽和土の繰返し三軸試験による土のせん断強度を求めることであった。 平成24年度は,模型地盤内の地下水位を変化させた遠心力載荷模型地盤振動実験を3例実施し,地下水位の違いによる地盤変位の差異を観察した。また,模型地盤内の三次元的変位を観察するために,多層色砂格子を用いた地盤内変位測定手法を開発して模型試験の変位計測に用い,その有用性を実証した。さらに,遠心力載荷模型地盤振動実験の結果と1G場模型地盤振動実験との対応性を観察するために,1G場における2次元模型地盤振動実験を3例,3次元模型地盤振動実験を2例,当初の予定に追加で実験を行った。その結果,遠心力載荷模型地盤振動実験と1G場模型地盤振動実験では,地盤のせん断強度に違いは生じるものの,地盤の破壊位置に関してはそれほど大きな違いが見られない結果となった。これは,谷埋め盛土地盤における地盤亀裂の発生位置を特定することを主目的とした本年度の方針に合致するものであり,平成25年度以降の模型実験への光明となるものである。また,谷埋め盛土部の地盤亀裂の主要な発生位置はRankineの土圧論に基づくせん断帯の位置に関連しそうであることが実験結果より明らかになった。今後,要素試験結果と力学的理論を組み合わせて,仮説の実証を行っていく予定である。 不飽和土の繰返し三軸試験の方は,平成23年度まで震災と改築のために当大学の実験施設が閉鎖されていたために,実験装置の修理・再構築に時間がかかっており,不飽和繰返し三軸試験装置の修理が完了したのが平成25年3月であったため,この部分の実験は遅れている。 不飽和土の繰返し三軸試験の進捗は遅れているが,模型地盤振動実験では追加試験を実施するなど,全体の進捗状況としては順調である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究における平成24年度の研究予定は,模型地盤振動実験を用いた地盤亀裂発生に関する各種要因の検討と,不飽和土の繰返し三軸試験による土のせん断強度を求めることであった。不飽和土の繰返し三軸試験の方は,平成23年度まで震災と改築のために当大学の実験施設が閉鎖されていたために,実験装置の修理・再構築に時間がかかっており,不飽和繰返し三軸試験装置の修理が完了したのが平成25年3月であったため,この部分の実験は遅れている。不飽和土の繰返し三軸試験の進捗は遅れているが,模型地盤振動実験では追加試験を実施するなど,全体の進捗状況としては順調である。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度の研究より,谷埋め盛土における地盤亀裂の発生位置は遠心力載荷環境でも1G場でもそれほど違わない結果が得られた。そこで平成25年度は当初計画を見直し,平成25年度に予定されていた遠心力載荷模型振動実験を1G場模型地盤振動実験に切り替える予定である。その理由は,遠心力載荷模型地盤振動実験は民間企業の技術研究所の設備を借りて実験を行うため,実験費用が高額であること,実験日時が限られること,装置改良の自由度が小さいことから,実験のケース数や得られるデータの自由度に大きな制限がかかるからである。平成25年度の模型地盤振動実験は1G場における実験に限定して行うことで実験ケース数を増やして,地盤変形状況の実証データを積み重ねた上で,最終年度の平成26年度の遠心力載荷模型地盤振動実験につなげる予定である。1G場の模型地盤振動実験では,遠心力載荷模型地盤振動実験で足枷となった,模型土槽の大きさの制限による土槽壁面の影響を小さくするために,大型土槽を追加作成して実験を行う予定である。 また,平成24年度の実施が遅れていた不飽和土の繰返し三軸試験をすすめていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
前年度で残額が発生したのは,当初計画していた追加土槽の作成と制御装置の購入を次年度に保留したからである。購入の保留は,前年度の試験結果を十分に踏まえたうえで次年度の実験計画を立案べきとの判断から行ったものである。現在,次年度の試験に即した追加土槽の図面を作成しており,平成25年度請求額と合わせて使用する予定である。
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