研究課題
河床低下によって河床の岩盤が露出した河川で岩盤上の流砂によって岩盤が異常に侵食される現象が生じている.特に,近年,河床低下によって砂礫層が消失することで多くの河川で岩盤の露出が見られるが,その中でも,侵食に対して非常に脆弱な岩床の出現によって異常なほど急速に河床低下が進行している事例が多数報告されるようになっている.本研究では,流砂による岩盤侵食現象を解明するために,侵食メカニズムの解明および流砂による岩河床侵食モデルの構築を目的とする.本年度は,流砂による岩河床侵食モデルを実河川へ適用するためには実河川の岩床における侵食量を把握する必要があるという観点から,岩盤が露出している実河川において岩床コアをサンプリングし,流水および流砂による侵食量に関する室内実験を実施した.岩床コアサンプリングは,近年一部で岩盤の露出が確認されている十勝川中流部および著しい河床低下が報告されている然別川(十勝川支川)で実施し,それらのコアサンプルを用いて室内実験において侵食量を計測した.本実験では,然別川のように侵食に対して非常に脆弱な岩床であっても,流水のみによる侵食量は流砂による侵食量に対してはるかに小さい(1/100程度の)量であることがわかった.また,侵食量は,底面剪断力に対する依存性は比較的低いのに対して,流砂量(給砂量)に対する依存性が確認された.本実験で計測した流砂による侵食量をこれまで実施してきた模擬岩床における実験結果や従来の研究成果と比較・検討を行い,流砂量と一軸圧縮強度などの岩床の物性値による侵食量のモデル化を行った.
すべて 2014
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)
土木学会論文集B1(水工学)
巻: Vol.70, No.4 ページ: I_1039-I_1044