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2012 年度 実施状況報告書

海中構造物周辺の底質浮遊・洗掘機構の解明と波浪・土砂・地形の相互作用系の統合解析

研究課題

研究課題/領域番号 24760389
研究種目

若手研究(B)

研究機関金沢大学

研究代表者

楳田 真也  金沢大学, 環境デザイン学系, 准教授 (30313688)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワード洗掘 / 埋戻し / 底質輸送 / 渦 / 海岸構造物 / 暴浪
研究概要

着床式洋上風力発電施設の円筒形基礎を想定した模型を砂地盤に設置し,暴浪の発生から終息までの一連の波浪変動パターンを造波水槽内に再現して,構造物模型周辺の波,流況,砂の移動と底面地形の変化過程を詳しく計測・観測した.現地波浪データを利用して暴浪時の波高・周期と再現期間を統計解析し,現地状況の再現性を考慮して強度別に4段階の波浪条件を選定した.波の強度を段階的に増加・減少させることで暴浪イベントを模擬し,波の不規則性や変動性が構造物周辺の洗掘地形の発達・埋め戻りの過程に及ぼす影響を詳しく調べた.
その結果,浸食・堆積の地形パターンや砂の移動形態はイベント中に遷移すること,各段階の洗掘地形は同じ強度の波浪が長時間続いて平衡状態に達したものと一致すること,各地形パターンの発生条件は波浪・構造物・底質の条件から求められるKC数とShields数によって推定可能であること,各パラメータの算出に有義波高・周期を用いると規則波による地形パターンの発生条件や最大洗掘深と良く整合すること等を明らかにした.
基礎根元の底面高は暴浪がある程度発達した段階で一時的に上昇し,さらに発達すると低下して暴浪ピーク段階で根元の洗掘深が最大に達する.暴浪減衰段階になると埋戻しにより根元付近の底面高さは急速に上昇するものの,最終底面高は初期に比べ低く,完全には回復しない.最終的な洗掘深は最大洗掘深に比べると約1/3と小さいこと,埋戻しは根元付近の限られた範囲のもので,ピーク段階で生じた洗掘孔全体を埋めるには十分でなく,暴浪減衰期も基礎周辺の底質量の回復はほとんど見込めない場合があることが分かった.
これらの知見は,海中構造物周辺の洗掘機構の解明および洗掘対策工の設計等に資する重要な研究成果であり,次年度予定している波浪・構造物・底質・地形変動の統合解析モデルの開発・検証に役立つ.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究の目的の一つである実海域での構造物基礎部の地形変動予測の際に重要となる波浪の不規則性及び暴浪イベントに伴う波浪の変動性が底質輸送形態や洗掘・堆積過程に及ぼす影響を研究実績の概要で述べた実験によって定量的に評価することができた.また,次年度予定している統合解析モデルの開発に役立つ知見やモデルの適用性を検証するための詳細な洗掘地形データを得ることができ,次の準備も順調に進んでいる.

今後の研究の推進方策

当初の計画通り,従来研究及び本年度の実験から得られた知見に基づいて波浪・底質・地形の相互作用系の数値解析モデルの開発と適用性の検証を行う.次年度は,研究代表者らが開発・検証してきた3次元流体解析モデルをベースに,浮遊砂と掃流砂の底質輸送モデル及び海底地形変動モデルを連成的に組み込んだ数値解析モデルを構築し,各要素の再現性を確認しながらモデルの最適化を図るとともに,適用限界を見極める.モデルの検証データには本年度の詳細実験の結果及び別途実施された大規模実験の結果を利用する.
また,底質輸送モデルの高度化に必要な知見を得るために,底質の初期移動と浮遊機構に着目した基礎実験を行い,細粒土砂の底質輸送を詳細に把握する.その際,通常の砂を用いた実験に加えて,砂よりも比重の軽い粒子を使用して,小規模底質輸送実験で問題となる砂連の発生を抑制し,現地海域の細砂の浮遊挙動の再現性を可能な限り向上させた実験を試みることで,高Shields数領域における底質浮遊・輸送機構を究明する.

次年度の研究費の使用計画

該当なし

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2013

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] Scour process around monopiles during various phases of sea storms2013

    • 著者名/発表者名
      Shinya Umeda
    • 雑誌名

      Journal of Coastal Research

      巻: 65 ページ: 1599-1604

    • 査読あり

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公開日: 2014-07-24  

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