研究概要 |
当該年度における本研究課題の目的は、道路ネットワーク上の観測交通量から、時間価値および時間信頼性価値の同時推計が可能なモデル構築を行うことである。本モデルは、予算制約下の効用最大化問題として定式化されるが、最終的には需要変動型利用者均衡配分と等価な問題として定式化される。したがって、経済モデルと整合する交通ネットワークモデルとして定式化できたことの意義は大きいと考えられる。モデル構築という目的に関しては、ほぼ達成できたものと考えられる。研究成果に関しては、昨年12月に香港で開催された国際シンポジウム(The 5th International Symposium on Transportation Network Reliability)で発表を行っている。 交通行動に関する時間価値を推計する方法の1つとして、ロジットモデルにおける効用関数のパラメータから推計する方法が挙げられるが、推計される時間価値の変動が大きく、信頼性に乏しいことが知られている。本モデルは、こうした従来の推計法に代わる信頼性の高い時間価値・時間信頼性価値の同時推計法と位置づけられ、その重要性は高いといえる。 また本研究課題の基礎理論に関係する研究(内田 賢悦:交通容量の確率的変動が道路ネットワークの移動時間に与える影響に関する研究,土木学会論文集D, Vol. 66, No. 4, pp.431-441, 2010)は、平成23年度土木学会論文賞を受賞し、第46回土木計画学研究発表会の招待講演(平成23年度土木学会論文賞)において、本研究課題の成果の一部を発表している。
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