本研究は、近代地方都市の典型的事例として岐阜を対象にし、遺された一次資料や実際の都市空間情報から、都市づくりに関わる主体(あるいは取り巻く関係者)・それらの持つ意図や技術・資本、成果としての都市構造によって事象を整理して、地方都市の成り立ちを実証的に描き出すことを目的とした。 明治20年代、商工業者の有志らによって市街地を拡張して商工業の町を建設することが目論まれ、〈計画する有志者〉と〈実施する官吏〉の体制により新市街地が形成された。その後、明治40年代の軌道網形成、大正末・昭和初期の都市計画導入の時期を経て、全国基準の都市構成手法を取り入れながら変質していく体制と都市構成を明らかにした。
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