研究課題/領域番号 |
24760412
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
須崎 純一 京都大学, 工学研究科, 准教授 (90327221)
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キーワード | リモートセンシング / 都市域 / 被災状況 / 衛星画像 |
研究概要 |
本研究では大きく3つの内容を平成25年度に実施した。(1)平成24年度に開発した、衛星搭載型多偏波合成開口レーダ(SAR: Synthetic Aperture Radar)データを用いた方位角に依存しない都市域抽出及び都市密度推定アルゴリズムを改良した。(2)多偏波SAR画像と光学画像を併用した都市域の変化抽出アルゴリズムを開発した。(3)被災前後の航空写真から作成した地表面データ(Digital Surface Model: DSM)を使って、広域の被災建物を自動で抽出する手法を開発した。以下、特に(1)(2)を補足説明する。 (1) 平成24年度に開発したアルゴリズムでは都市域及び都市密度を推定できるものの、一画像内での相対的な都市密度に限定されていた。そのため、多都市間での都市密度の比較ができなかった。平成25年度には,多都市画像からサンプルを取得し、方位角の補正に必要な統計量を計算することで、多都市間で比較可能な絶対都市密度推定アルゴリズムへ拡張した。 (2) 災害発生時だけでなく、森林伐採による農地面積の拡大や農地から宅地への転用等、人間の活動によって生じる土地被覆の変化を地球規模で定常的に把握することは、地球環境問題を論じる際に重要になる。提案アルゴリズムでは、SAR画像から後方散乱強度の変化を利用して、土地被覆が変化した地域を特定するだけでなく、光学センサ画像の反射率の変化を利用して土地被覆変化タイプを推定する(例えば、森林から農地、人工構造物群から裸地等)。このように異なる性質を持つ衛星画像を効果的に統合することで、単に土地被覆が変化したという情報よりも詳しい情報を推定可能となる。新規性に富む内容で地球環境モニタリングに貢献できる内容であると言える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
衛星搭載型多偏波合成開口レーダを用いた都市密度推定や土地被覆変化推定の成果は、国際学会で発表しただけでなく、複数の国際学会誌にも論文が掲載され、順調に進んでいるといえるため。
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今後の研究の推進方策 |
・航空写真を用いた被災建物抽出アルゴリズムの開発:衛星画像では解像度の点で限界があるため、被災前後の航空写真から作成した地表面データ(Digital Surface Model: DSM)を使って、広域の被災建物を自動で抽出する手法の開発に取り組んできたが、平成26年度も更に研究を進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
初年度に購入予定であった衛星画像が購入できないと判明したために使用額に残額が発生する状況が生じている。 主に国際学会参加費用、渡航費、論文掲載料、英文校正料を中心に支出する予定である。
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