研究課題
乗用車からの二酸化炭素排出削減効果予測には,長期的な予測手法が必要である.従来の将来計画の立案手法では,現在の状態を改善する施策オプションを複数準備しておき,その中から,施策目標を達成可能なオプションを選ぶフォアキャスティング・アプローチが用いられてきた.この計画立案手法では,分析者が設定した個別施策の積み重ねによる効果の予測が行われているため,最適な施策の組合せ,および実施順序が必ずしも得られるとは限らなかった.本研究では,バックキャスティング・アプローチに基づき,乗用車からの二酸化炭素排出削減目標を確実に達成可能,かつ最適な施策実施方法を,その実施順序の最適性も含めて検討可能な分析システムの開発を目的に行った.具体的には,以下のことを実施した.(1)自動車保有・利用に関連する選択行動を,購入段階,維持段階,および走行段階として捉える.その上で,他者への同調行動を考慮した車種選択モデル,および買い替え・廃棄車齢と年間走行距離の同時決定モデルを構築することによって,中長期の世帯自動車保有・利用行動を予測できる分析方法を提案し,その有用性を検証した.(2)構築した世帯行動モデルをサブモデルとして組み込んだ二酸化炭素管理施策立案モデルを動的最適化問題によって定式化し,施策シナリオを最適解として導出するシステムを開発した.(3)電気自動車普及施策に着目し,提案した分析システムを用いたシミュレーション分析によって,目標を達成可能,かつ,総施策実施費用が最小となる時点別の電気自動車購入補助金額や電気自動車急速充電器の新規設置数等の施策検討を行った.
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土木学会論文集D3 (土木計画学)
巻: 69 ページ: I_479-I_488
Travel Behaviour Research: Current Foundations, Future Prospects
巻: - ページ: 369-386
Sustainable Transport Studies in Asia
巻: - ページ: 191-210