研究課題/領域番号 |
24760415
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
高山 雄貴 愛媛大学, 理工学研究科, 助教 (90612648)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 空間経済学 / 集積の経済学 / 輸送規模の経済 |
研究概要 |
本研究の目的は,輸送拠点の形成・強化と産業・人口集積を同時に扱う理論を構築することである.そのために,大きく次の3つのphaseに分けて研究を実施する: [phase 1] 新経済地理学の枠組みに輸送規模の経済を導入した新たな経済モデル(基本モデル)を開発する.そして,Akamatsu et al. (2012) の手法を用いて,そのモデルの一般特性を明らかにする. [phase 2] 基本モデルを輸送費用構造の異なる複数産業の枠組みに拡張する.そして,理論・数値解析を併用し,その基本特性を明らかにする.その結果から,階層的な産業立地・輸送パターンが形成されるメカニズムを解明する. [phase 3] Phase 2の拡張モデルに確率的要因を導入した大規模な集積経済モデルを構築する.そして,安定均衡解の特性を網羅的な数値実験により調べ,階層的かつべき乗則に従う都市・輸送システムが創発するメカニズムを明らかにする. 本年度は,上記の3つのphaseのうち,phase 1を実施した.すなわち,輸送規模の経済を導入した新経済地理学モデルを構築した.そして,理論解析により,輸送市場の競争環境の違いが産業集積に与える影響を明らかにした.より具体的には,1) 輸送市場に参入規制がない場合,産業集積による輸送需要の増加が輸送企業(キャリア)の新規参入・競争激化をもたらし,運賃を低下させる.その結果,産業集積が進展する; 2) 参入規制の下での輸送需要の増加は,輸送企業の市場支配力の増大・運賃の上昇を生むため,一度形成された産業集積を崩壊させる可能性がある.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究実績の概要に示した3つのphaseのうち,本年度はphase 1を完了することができた.さらに,輸送規模の経済は含まれないものの,phase 2の基本となる,複数産業の枠組みの新経済地理学モデルの特性も明らかにした. 以上の内容は,当初の計画であるphase 1だけでなく,次年度分の計画の一部を含むものであり,来年度以降のさらなる研究進展・発展を見込むことができる成果である.
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今後の研究の推進方策 |
今後は,来年度と再来年度で,研究実績の概要に記載したphase 2, 3を順に進める予定である.ただし,本年度は予定より早く研究を進展させることができたため,来年度中にphase 3の一部に取り掛かるよう予定している.
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度は,これまでに得られた研究成果を国内・海外にて報告する計画である.したがって,次年度の研究費は,主に旅費,論文投稿費にあてる予定である.その他は,研究進展に必要な専門図書・印刷用紙などの消耗品に対して支出する予定である.
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