• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2012 年度 実施状況報告書

防犯まちづくりのための犯罪リスクアセスメント手法の開発とその適用

研究課題

研究課題/領域番号 24760416
研究機関佐賀大学

研究代表者

木梨 真知子  佐賀大学, 低平地沿岸海域研究センター, 研究員 (90624263)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2014-03-31
キーワード防犯まちづくり / 茨城県日立市 / リスクアセスメント / 犯罪
研究概要

(1)リスクアセスメントが防犯分野にどの程度援用可能か検討するために、文献調査に基づいてリスクアセスメントが盛んに活用されている複数の専門分野での手法やプロセス、実践における工夫等を把握し、防犯まちづくりの実践手法と照らし合わせながら利用可能な手法を整理する。さらに犯罪リスクアセスメントの前提条件(適用範囲、実施対象、利用主体、対応可能な罪種など)を明確にするために防犯まちづくり専門家へのヒアリング調査を実施した。これにより、防犯分野で実施できるリスクアセスメントの基本方針を定めた。
(2)リスクアセスメントに用いる指標を定めるため、犯罪に対する環境的なハザード(道路構造、住居形態、交通量など)を可能な限り広く抽出すべく文献調査やブレーンライティングを実施した。ハザードの整理は申請者自身の過去の研究成果をふまえ、環境的犯罪要因のみならずステーク・ホルダー要因について詳細に抽出した。さらに、ハザードを体系化することでハザードがどのような項目で構成されているか明らかにした。ハザードは犯罪の種類によって異なるため、犯罪の種類と対応させて指標化した。
(3)(2)で抽出した環境的犯罪要因およびステークホルダーの量的観測調査が可能であるか確認するために、茨城県日立警察署から入手した貴重な犯罪発生地点の住所データを利用し、フィールド調査を実施した。その結果、単路部と交差点部では観測すべき経路数が異なるため、単純な比較ができないことが判明した。このため、現在はこの問題を解消する方法を検討している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

「研究実績の概要」で述べたとおり、フィールド調査の際に解決すべき新たな問題が見つかった。このため、フィールド調査の継続を中断し、この問題の解決のために文献調査等を再度行っている。
また、平成25年4月に所属機関が変更されたため、研究体制を新しく立て直しているところである。

今後の研究の推進方策

(1)単路部と交差点部におけるフィールド調査方法の再検討を行い、フィールド調査を再開する。調査方法の検討は、文献調査に加えて専門家との意見交換を予定している(茨城大学・金利昭教授、宇都宮大学・森本章倫教授など)。
(2)リスク算定手法を考案するため、(1)で収集したハザードデータをもとに環境リスク算定手法の考案を試みる。そのアプローチ方法は、統計的手法を用いて犯罪発生への影響要因を明らかにした上でその影響度を重み係数として設定し、各指標の総合的なスコアをリスク値とすることを想定している。犯罪発生に影響がない指標は適宜除外していく。
(3)(2)で考案した犯罪リスク算定結果を用いたリスク評価手法を案出する。施策導入のための合理的基準の設定は(1)で入手した犯罪発生地点と未発生地点の比較分析結果を用いて検討することを想定しており、地域の犯罪発生確率や犯罪の種類を考慮して環境的な改善が必要になるかを判断できるようにする。さらに、リスクマップ(施策導入基準とリスク値の関係をマトリックスに示す)を作成するなどして防犯まちづくりの現場で広く活用できるように工夫する。
(4)開発した犯罪リスクアセスメントの実用性を検証するため、上記によって提案された手法を用いて、複数人の被験者にある地域(数箇所を予定)で犯罪リスクアセスメントを実施してもらい、被験者によって結果に違いがあるか確かめる。その上で、利用のしやすさやメリット・デメリット、適用範囲の工夫等を検討し今後の改善案を考察する。

次年度の研究費の使用計画

・フィールド調査の中断により前年度で使用しなかった研究費分は、次年度では主にフィールド調査の旅費および調査員の人件費のために利用する。そのほか、統計的分析を行うためのソフト(SPSS)1個の購入を予定している。
・次年度は、上記の研究費に加えて、ヒアリング調査および現地調査旅費として約50万円、データ処理およびフィールド調査の調査員に対する人件費として33万円、その他コピー代等として約8万円を予定している。

URL: 

公開日: 2014-07-24  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi