研究課題/領域番号 |
24760420
|
研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
石坂 哲宏 日本大学, 理工学部, 助教 (60453908)
|
キーワード | 走行速度 / 交差点可視空間 / 曲線半径 |
研究概要 |
平成26年度は、取得した点群データを解析し、走行速度に与える要因を分析した。交差点の閉塞感として、交差点可視空間量を定義し、交差点の見通しの評価を行った。一方、昨年度点群データを取得した区間の中から、曲線半径の異なるカーブ区間を選定し、区画線の位置、曲線半径等の算出を行った。 具体的には、曲線半径が90mと200mの右カーブを対象とし、被験者6名で5往復の走行実験を行った。評価方法として、対象カーブを直線区間、カーブ開始から最小曲線半径までの曲線区間、カーブ終了までの曲線区間、直線区間の4区間に細分化して、速度と走行位置を算出した。走行速度及び位置は後処理型のキネマティック測位により20Hzで計測を行い算出した。 曲線半径200mではカーブ進入後に緩やかに減速し,多くの被験者が設計速度に近い速度で走行していたため横方向力が低い値となった。これらのことから曲線半径200mのカーブにおいては,道路設計時に想定した車両挙動が出現していることが分かった。 曲線半径90mでは区間1~2で減速し,区間2~4で加速していることがわかった。2と3の区間で横方向力が大きくなっているのは,カーブ内で加速していることが原因と考えられる。区間4は直線区間のため横方向力が小さい値となっている。これらのことから,逸脱は確認されなかったが,曲線半径200mよりも2と3の区間で対向車線への逸脱の危険性が高くなっているといえる。 交差点の可視空間量は、周辺構造物が存在する場合と存在しない場合(を比較することにより、実際に対象とする視点からどの程度見えているのかを交差点の停止線までの約20mの区間を対象として定量的に示し、見通し評価を行った。今後、可視空間量と速度との関連性を検証する予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成26年度は、取得した点群データを解析し、走行速度に与える要因を分析した。交差点の閉塞感として、交差点可視空間量を定義し、交差点の見通しの評価を行った。一方、昨年度点群データを取得した区間の中から、曲線半径の異なるカーブ区間を選定し、区間線の位置、曲線半径等の算出を行った。 具体的には、曲線半径が90mと200mの右カーブを対象とし、被験者6名で5往復の走行実験を行った。評価方法として、対象カーブを直線区間、カーブ開始から最小曲線半径までの曲線区間、カーブ終了までの曲線区間、直線区間の4区間に細分化して、速度と走行位置を算出した。走行速度及び位置は後処理型のキネマティック測位により20Hzで計測を行い算出した。 現在までの進捗状況であるが、上記の通り、走行実験と交差点における閉塞感の算出は実施することができたが、カーブ区間における視距の算出とアイマークカメラを用いた走行実験を行うことができなかった。視距の算出は交差点の閉塞感の算出方法の構築に時間を要したため、点群処理の方法を時間的に構築することが間に合わなかったためである。
|
今後の研究の推進方策 |
本年度は最終年であるが、昨年度実施できなかったアイマークカメラを用いた調査を行い、点群データに3次元走行空間の見え方(視距、閉塞感)等の関連性を検証する。 アイマークカメラを用いた調査は、キャンパス周辺もしくは千葉県の県道81号、国道485、国道297号を対象にニコン・トリンブル社製のTrimble MX8による道路空間データの取得実験を行う。なお、平成24年度と同様に研究協力体制(日本大学教授佐田達典、ニコントリンブル、フィールドテック)が得られることとなっている。 得られたデータを解析し、走行速度に与える影響を分析する。アイマークカメラの実験で得られたブレーキワーク及び速度変化があった地点及びその周辺の視距の変化地点を抽出する。その上で、アイマークカメラで得られた視点と視距や閉塞感を比較して、そのブレーキワークが視距や閉塞感によって生じたものかを明らかにし、視距や閉塞感が速度に与える影響を明らかにする。データの処理などは、佐田教授、フィールドテックの助言を受けて実施していく予定である。 以上の成果をIEEEのITSC2014などの国際大会で発表することを目指す。
|
次年度の研究費の使用計画 |
アイマークカメラを用いた走行実験を本年度実施することができなかったため、機器仕様に関する使用額が次年度生じることとなった。また、点群データの取得も研究協力という形で協力企業のNikon Trrinbulの支援が得られたため大きな支出を避けられることとなった。 次年度は、アイマークカメラを用いた実験を行う予定としており、1年計画より遅れているが3か年の研究計画を敢行する予定である。
|