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2012 年度 実施状況報告書

超小型モビリティ・ミニカーの交通事故に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 24760424
研究機関科学警察研究所

研究代表者

大賀 涼  科学警察研究所, 交通科学部, 主任研究官 (50392262)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2014-03-31
キーワード交通事故 / 交通事故解析 / 交通事故統計 / 超小型モビリティ / ミニカー / 衝突試験
研究概要

本研究では交通事故統計の分析ならびに実車衝突実験の実施を通して、超小型モビリティのひとつであるミニカーの交通事故の実態の解明を進めている。
交通事故統計の分析の結果、ミニカーの利用者は事故の相手車両に比べて10km/h程度高い危険認知速度であったことが判った。これは相手車両が速度を出しにくい走行環境においてもミニカーが高い速度で運用されていることを示唆している。しかしながら、研究当初に予想された狭い道路をミニカーが積極的に利用しているとの予想は覆され、速度差の要因は道路幅ではないとの結果であった。そのため、道路幅以外の要因を検討する必要がある。また、ミニカーの乗員保護においてシートベルトの有用性が認められた。その他にミニカーが歩行者・自転車に対しては交通弱者ではなく、相手に被害を与える交通強者とも言える状況であることが認められた。現在、ミニカーと共に自転車の利用が促進されている。しかしながら両者が混在する交通環境では事故発生のための施策が今後は必要と推察される。以上の成果は自動車技術会2012年秋季大会で発表した。
他方で、実車衝突実験を実施し、ミニカー乗員の受傷過程の検討を行っている。前面衝突実験の結果、30km/hでの衝突ではミニカーの客室空間は十分な生存空間を保持できる可能性が認められた。しかしながら、シートベルトを支えるピラーの強度が不十分なため、乗員が前方へ移動し、ハンドルやダッシュボードに乗員上体を強打することが認められた。よって、今後の車体強度の改善が必要と考えられるが、シートベルトの改良など必要最低限の改善で対応可能と考えられる。実車衝突実験の成果については自動車技術会2013年秋季大会で発表予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

当初、初年度は交通事故統計の分析を行う予定であった。これに対し、分析が予定以上に順調に進み、成果をすでに学会で発表するに至っている。論文についても査読中である。
他方で、統計分析と並行して進めている実車衝突実験については、前面衝突実験を実施した。当初は衝突速度を55km/hのみとしていたが、実験手法の再検討ならびに車両調達費の削減により、55km/hと30km/hの2ケースにて行うことができた。これにより、幹線道路での事故を想定した55km/hでのデータ取得に加え、ゾーン30など生活道路での事故を想定した30km/hでのデータを取得することができた。また当実験では警察内の交通鑑識・鑑定の専門家も参加しており、ミニカーの交通事故解析に関するノウハウの共有化を行った。併せて大学・メーカーの見学受け入れを行い、ミニカーの強度に関する情報を共有した。
なお、ミニカー対交通弱者の衝突実験については車両ならびに自転車・ダミーの手配を終えている。衝突実験の実施時期は2012年度後半から2013年度前半へと実施時期を先延ばしにしているが、2013年度後半の成果発表に向けて問題ない程度のスケジュール変更である。
国内の車種の開発動向の調査については逐次、推進している。一部のメーカーとは協力体制を構築し、情報の共有化を進めている。
以上の通り、研究は予定を前倒しして一部の成果を学会発表するに至っており、その他の研究についても当初計画より多くの成果を得ている。

今後の研究の推進方策

今後はミニカー対自転車の衝突実験を実施し、交通弱者に対する加害性について検討する。
並行して今年度に実施した前面衝突実験のデータ解析を進め、ミニカーの車体強度などについての検討を行う。現在、東京都市大学との共同研究を準備しており、有限要素法を用いて前面衝突実験の解析ならびに、車体強度や車体構造の改善方法の検討を担当いただく予定である。特に今回の衝突実験で乗員上体を保持できないとの問題点が見つかったことから、シートベルトの取り付け方法について改善方法を検討する。
他方で、交通事故統計分析の観点からもシートベルトの有効性について詳細に検討する。加えて、統計分析と並行して交通事故事例の収集を行う。
また、海外の電気自動車に関する動向調査を行う。海外の動向調査については、米国のAccident Reconstruction Conferenceへの参加を予定している。また台湾での動向調査を行う予定である。

次年度の研究費の使用計画

次年度の主な研究費の使途は旅費となる。次年度前半に海外の動向調査を行う予定である。また、事故実態調査を今年度に引き続いて行う。次年度後半には自動車技術会などでの講演発表ならびに論文投稿を予定している。
その他、ミニカー対交通弱者の実車衝突実験を行うため、実験用消耗品の購入を行う。
なお、当研究では大型の機材の購入は予定していない。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] ミニカーの実車衝突実験における車両変形と乗員負傷2013

    • 著者名/発表者名
      大賀涼
    • 雑誌名

      月刊交通

      巻: 44 ページ: 87-96

  • [学会発表] 超小型モビリティ・ミニカーの交通事故に関する研究(第1報)2012

    • 著者名/発表者名
      大賀涼、田久保宣晃、寺島孝明、野口祐輔、木戸浩太郎、加藤憲史朗
    • 学会等名
      自動車技術会2012年秋季大会
    • 発表場所
      大阪国際会議場
    • 年月日
      20121003-20121005

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公開日: 2014-07-24  

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