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2013 年度 実績報告書

放射性物質を含む下水焼却灰の埋設処分における放射性物質拡散防止のための実験的検討

研究課題

研究課題/領域番号 24760426
研究機関岩手大学

研究代表者

石川 奈緒  岩手大学, 工学部, 助教 (10574121)

キーワードセシウム / ストロンチウム / 下水汚泥焼却灰 / 鉱物 / 収着
研究概要

福島第一原子力発電所の事故に伴って環境中へ放出した放射性物質の一部は下水焼却灰に濃縮している。これら廃棄物が埋め立てられた処分場から環境への放射性物質拡散が懸念される。本研究の目的は、下水焼却灰からの放射性物質の溶出特性の把握に加え、溶出した放射性物質を吸着・保持するのに効果的な鉱物資材を選定し、環境への放射性物質の拡散防止手法を確立することである。対象元素はCsとSrとした。
まず、下水焼却灰からのCs、Srの溶出実験を行った。中性からアルカリ性では、CsはpHとともに溶出率は増加し、SrはpHの上昇に伴い溶出率が減少した。また、溶出率は浸出液の元素組成にも影響を受けることが示された。
次に、4種の鉱物資材(ゼオライト、イライト(二種類)、長石)を用い、Cs、Srの収着実験を行った。ゼオライト、イライトは液相中のCs、Srをほぼ100%収着したが、長石は最大80%程度だった。次にpH 6-11 の範囲でpHの影響を確認した。Csの場合、どの鉱物においてもpHの上昇とともに収着率は減少し、ゼオライトとイライトはpH 11で収着率80%程度であるのに対し、長石は30%まで減少した。Srでは、pHの上昇とともにどの鉱物もSr 収着率は増加した。さらに、液相に浸出水を用いて収着実験を行った場合、どの鉱物へもSrの収着が確認できなかった。これは、浸出水中に多く含まれるCa等との競合によると考えられる。
さらに、Cs を収着させた各鉱物について、浸出液を接触混合させ、浸出水へ脱離する量を求めた。ゼオライトでは浸出水へのCsの脱離は見られず、イライトは収着した分の3-6割が脱離した。長石では脱離は見られないものの、収着量自体が他の鉱物と比較して少ない。したがって、最終処分場の隔離層として、Csの収着・保持能において、4種の鉱物資材ではゼオライトが適していることが示された。今後はSrの収着・保持に有効な資材の検討や、Csに対する他の鉱物の検討、保持能の評価方法の確立を目指す必要がある。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2014 2013

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 埋立処分される下水汚泥焼却灰からのCsおよびSrの溶出特性2014

    • 著者名/発表者名
      石川奈緒,伊藤歩,海田輝之
    • 雑誌名

      原子力学会和文論文誌

      巻: 13 ページ: 未定

    • 査読あり
  • [学会発表] 粘土鉱物による最終処分場浸出水中のCs, Sr の収着・保持に関する研究2014

    • 著者名/発表者名
      桑田麻衣,石川奈緒,伊藤歩,海田輝之
    • 学会等名
      土木学会東北支部技術研究発表会
    • 発表場所
      八戸工業大学
    • 年月日
      20140308-20140308
  • [学会発表] 最終処分場の浸出液中の放射性物質除去に関する基礎研究2013

    • 著者名/発表者名
      石川奈緒,伊藤歩,海田 輝之
    • 学会等名
      環境工学研究フォーラム
    • 発表場所
      北海道大学
    • 年月日
      20131119-20131121
  • [図書] Radiation Monitoring and Dose Estimation of the Fukushima Nuclear Accident2014

    • 著者名/発表者名
      N.K. Ishikawa, A. Ito, T. Umita
    • 総ページ数
      223(127-134)
    • 出版者
      Evaluating removal of radionuclides from landfill leachate using generally practiced wastewater treatment processes, Radiation Monitoring and Dose Estimation of the Fukushima Nuclear Accident

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公開日: 2015-05-28  

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