研究課題
水銀フリーの次世代光源として注目される紫外発光ダイオード(UV-LED)を用いて浄水消毒装置を設計し、その微生物不活化効果を実験的に明らかにした。装置設計では、H24年度に有効性を確認した発光ピーク波長280nmのUV-LED素子を採用した。小型でレイアウトの自由度が高いLEDの特性を生かすため、リング状基盤の内壁面にUV-LEDを貼り付け、内部を照射する小型装置を作成した。実験では、当該のリング型装置を石英管外側に装着し、管路内を流れる試験水にシングルパスで紫外線を照射してその不活化効果を評価した。供試微生物として、大腸菌K12および大腸菌ファージQβを用い、細菌とウイルスの応答の違いを調べた。流量を変化させた不活化実験、数値流体力学ソフトウェアによる流動シミュレーション、およびメチレンブルーをトレーサーとする流れ観察を行い、石英管路内の流動条件と不活化効果の関連を調べた。成果の要点を以下に記す。(1)UV-LED装置の石英管への取り付け位置により、不活化効果が異なった。特に、管路内流れが層流となる位置にUV-LED装置を設置すると、不活化効果が高くなった。(2)流量600mL/minで層流状態の試験水に紫外線を照射した場合、シングルパスで大腸菌6log不活化を安定して達成した。一方、同条件における大腸菌ファージQβの不活化率はおよそ0.9logであり、水銀紫外線ランプを用いた既存研究における大腸菌と大腸菌ファージの紫外線感受性の差と同等であった。上記成果のうち、(1)はUV-LED浄水装置の形状決定に有用な知見であり、(2)はUV-LED浄水装置が細菌の制御に有効と期待される半面、今後の装置開発ではウイルスの制御が重要な課題であることを示唆している。本研究により、UV-LEDを用いた浄水装置の開発に資する有用な知見、および、今後の研究展開の方向性が示された。
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