研究課題/領域番号 |
24760430
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 大阪府立大学工業高等専門学校 |
研究代表者 |
大谷 壮介 大阪府立大学工業高等専門学校, その他部局等, 助教 (60554219)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 河口干潟 / 潮汐 / 炭素循環 / ヤマトシジミ / ヨシ |
研究概要 |
本年度は調査対象干潟である淀川河口干潟において,水質・底質・底生生物の生息状況を把握することを目的に調査を行った.調査対象である淀川河口干潟の水質は平水時には,潮汐によって水位が変動しているが,降水時には淀川大堰が開門して,干潟内に堰からの水が流入することで塩分が低下していた.また台風の影響により,干潟内の塩分は大きく低下し,流量が増加したことで水温は約5℃低下しており,降水時には流量の増加に伴って潮汐の影響は小さくなると考えられた.さらに,大潮時に地温と水温の変化は大きく,小潮時に温度変化は小さかった.また,冬季において満潮時に大阪湾から海水の流入によって夜間の干潟の水温は上昇していることが考えられた.底質に関して化学的な指標であるChl.a量は季節変化を示したのに対して,物理的な指標である粒度組成は大きな変化を示さなかった.底生生物について優占種であるヤマトシジミの個体群密度は 280~1183 ind./m2で経月変化を示し,室内実験でヤマトシジミの呼吸による酸素消費速度実験を行った結果,殻長,水温は酸素消費速度と高い関連性が認められ,殻長,温度による酸素消費速度の定量化を行うことができた.ヤマトシジミを中心とした炭素収支を定量化した結果,調査対象とした干潟では,ヤマトシジミによって82 kg/8monthの炭素が埋没していることがわかった.さらに,ヨシに関してヨシの茎高は毎月徐々に生長して,炭素量は夏から秋に向けて増加しており,茎高の生長が炭素量の増加に大きく関わっていた.ヨシの生産量は115 gC/month/m2と炭素を固定していることがわかった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
毎月の現地調査・室内実験によって,データの蓄積をすることができた.
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今後の研究の推進方策 |
現地調査を継続することで,今後は1年を通した調査結果を得る必要がある.ヤマトシジミについては炭素循環の中で生産量および呼吸量の定量化を行うことができたが,ヨシについては生産量のみしか評価できてなく,現地での分解実験を行う必要がある.また,ヨシだけではなく,底生微細藻類等の一次生産量を考慮する必要がある.
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次年度の研究費の使用計画 |
現地調査の旅費および炭素循環の定量化に必要な二酸化炭素計を計測する機器を購入する.
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