本研究は河口干潟におけるブルーカーボン由来の二酸化炭素を中心とした炭素循環の定量化を行った.特に,底生生物の中でも貝殻を有する貝類が死亡した後の埋没する炭素に着目して,ヤマトシジミを中心とした周辺環境の炭素動態を含めて炭素循環の定量化を行った. ヤマトシジミは生活史を通して,炭素の排出よりも吸収の方が大きく,干潟に炭素を固定していることがわかった.また,ヨシは夏季に生長して炭素を固定していたが,呼吸による二酸化炭素の排出が大きかった.干潟の堆積物では底生微細藻類によって二酸化炭素は固定されているが,水面からは二酸化炭素は放出されており,その炭素収支は年間を通して放出していた.
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