研究課題/領域番号 |
24760431
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
浅田 安廣 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (60610524)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | Campylobacter jejuni / 免疫磁気ビーズ / MPN-PCR |
研究概要 |
今まで不透明であった環境水中のCampyobacter jejuniの存在実態を解明するために,環境水中のC. jejuniに適用可能な定量方法および分離方法について検討した。 まず定量・分離を行う際に最も重要となる要素である培養方法について検討したところ,定量・分離方法ともに,ボルトン培地とプレストン培地による培養を組み合わせた培養方法(二段階増菌培養)が,最も適した培養方法であることが明らかとなった。定量方法については,二段階増菌培養後に,PCRによる検出とMPNによる統計学的手法を組み合わせたMPN-PCR法を用いることにより,感度よく安定的にC. jejuniを定量可能であった。分離方法については,免疫磁気ビーズ,メンブレンフィルターの2種類について検討し,共に二段階増菌培養を前培養として組み込むことで,C. jejuniの分離が可能となった。 続いて水道原水である河川水とその汚染源となる下水処理水を対象とし,C. jejuniの存在実態を調査した。C. jejuni定量に関しては,二段階増菌培養とMPN-PCR法を用いることにより,C. jejuni濃度が低い河川水試料でも感度よく安定的にC. jejuniを定量可能であり,有用性が示された。C. jejuni濃度は下水処理水で24~11000 MPN/L,河川水で0.011~0.75 MPN/Lと変動があり,夏季と冬季に高い濃度を示した。C. jejuni分離に関しては,C. jejuniが高濃度で存在する下水処理水では,免疫磁気ビーズとメンブレンフィルターともにC. jejuniの分離が可能であった。一方C. jejuniが低濃度で存在する河川水では,免疫磁気ビーズによる分離は確認できなかったものの,メンブレンフィルターによる分離は確認できたため,有用性が高いと判断した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた通り,環境水中のCampylobacter jejuniに適応可能な定量方法と分離方法を決定した。そして,水道原水である河川水とその汚染源となる下水処理水について,C. jejuni濃度測定を行い,年間を通じてC. jejuni濃度のデータを取得した。C. jejuni定量と同時に決定した分離方法を用いて分離も行い,平成25年度の研究計画に示したC. jejuniのLOS構造解析を行う上で十分な菌株数を確保した。現在,予定通りLOS構造分析方法に関する検討を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度の研究計画に示した通り,まずLOS構造分析方法を検討する。その方法に基づいて既に保存している菌株の血清型・LOS構造の分析を行う。そして得られたデータに基づき,ギラン・バレー症候群発症に関連する菌株を抽出し,その存在実態を明らかにする。また定期的に下水処理水,河川水のC. jejuni濃度の測定を行い,情報を収集する。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度の研究費の使用計画は,主として血清型調査,LOS構造解析に必要な消耗品の購入を行う。またC. jejuni定量で用いる消耗品の購入を行う。これらは当初の計画書に記載した通りの消耗品目である。
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