本研究では、主にサブミクロン粒子の計測に用いられてきたライダー技術を基礎として、より粒径の小さいエアロゾルの検出を可能とする紫外域多重散乱ライダーを開発した。ライダー信号に含まれる単散乱に対する多重散乱の寄与率から、エアロゾル粒径分布を推定するアルゴリズムを構築した。さらに、シミュレーション研究によりライダー信号からの粒径分布の導出精度について評価するとともに、2013年9月から2014年2月にかけて、実測に基づく直接計測機器との比較検証観測を実施した。その結果、本研究で提案するライダーから推定した粒径分布は、粒径50~100 nmをピークとする一峰性粒径分布で近似できるような大気条件では、直接観測から求めた分布形状と整合することが分かった。相対的に粗大粒子が卓越する場合などの一部条件下では導出精度が悪くなるものの、超微小粒子の検出において、提案するライダーシステムは有効に機能することが確かめられた。
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