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2012 年度 実施状況報告書

下水処理嫌気性プロセスに存在する未知微生物群の機能解析と最適運転条件の提案

研究課題

研究課題/領域番号 24760433
研究種目

若手研究(B)

研究機関新潟薬科大学

研究代表者

井口 晃徳  新潟薬科大学, 応用生物科学部, 助教 (60599786)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2014-03-31
キーワードメタン発酵プロセス / 未培養微生物 / 下水処理 / UASB
研究概要

途上国への適用可能性および昨今のエネルギー事情の観点から再び注目されつつある下水処理メタン発酵プロセスにおいて、機能上重要と思われる下水処理メタン発酵リアクター内に高頻度に検出される未培養微生物(Phylum Caldiserica (OP5) に属する未培養phylotype)の機能を明らかにすることを目的に、本年度は6つの研究課題を設定し遂行した。はじめに、Phylum Caldisericaに属する標的未培養phylotypeをモニタリングする技術としてリアルタイムPCR法による遺伝子定量を構築した。既知の遺伝子プローブを改変することで標的遺伝子の定量限界10^2copiesレベルのリアルタイムPCR実験系を構築できた。構築したリアルタイムPCR技術を利用し、バイアルビン培養による標的未培養phylotypeの基質資化能推定試験を行った。下水処理UASB汚泥に対して多様な有機物を添加した培養系を構築し、リアルタイムPCR法により標的未培養phylotypeの経日変化をモニタリングした。結果、イーストエキストラクト添加系において、標的未培養phylotypeが集積して培養されることが明らかとなった。この結果を基に、イーストエキストラクトを供給するラボスケールUASBリアクターによる連続培養系を構築し、連続培養系におけるOP5の集積化を試みた。イーストエキストラクト連続培養系のUASB汚泥に対して、OP5に特異的なプローブを用いたFISH法を適用した結果、標的と考えられる菌体からの蛍光シグナルが多数検出されたことから本連続培養系においてOP5が集積されていることが確認できた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

概ね順調に進んでいると考えている。本研究でカギとなる実下水処理UASBリアクターに優占して存在するPhylum Caldisericaに属する未培養phylotypeのモニタリング技術の構築、および標的未培養phylotypeの存在するラボスケール連続培養系を構築することができたので、これらを利用して今後は標的未培養phylotypeの機能解析を行なっていく。

今後の研究の推進方策

実下水処理UASBリアクターにおいて高頻度に検出される未培養phylotypeを連続培養系にて集積可能となったことから、今後は本リアクターおよびその汚泥を活用し、標的未培養phylotypeのin situにおける機能解析および分離培養を試みる。具体的には、切片FISH法による未培養phylotypeのグラニュール内空間分布を把握し、CE/MS, GC/MSを使用したUASBリアクター内に蓄積している有機物 (微生物代謝産物) の解析を行い、微生物のグラニュール内空間分布と基質拡散モデルを使用した標的未培養phylotypeのin situにおける機能推定を行う。また大規模シーケンス解析によるラボスケールUASBリアクターの微生物群集構造解析を行い、メタン生成を伴う嫌気分解における標的未培養phylotypeと他微生物との関連性を明らかし、本リアクターにおける有機物分解メカニズムの解明を目指す。加えて上記で得られた未培養phylotypeの機能を基に培養条件を絞込み、標的未培養phylotypeの分離培養を試みる。

次年度の研究費の使用計画

次年度では、今後の研究の推進方策に従いそれらの実験で使用する試薬、器具、装置を購入、得られた成果を学会発表するための学会参加旅費、論文投稿に関わる費用を研究費から執行する。実験について具体的には、FISH解析は関連微生物を検出するための蛍光標識プローブセットの合成委託費および切片FISHに使用する各種消耗品(ミクロトーム刃、コンパウンド等)費、またリアクター内有機物の測定に使用するCE/MS, GC/MS関係の消耗品費、また微生物群集構造解析にて行う大規模シーケンス解析受託費として使用する予定である。研究の遂行状況によっては、研究協力者との打ち合わせ旅費、また同様に必要があれば海外に設置されている下水処理UASBの調査等にも使用することを考えている。国内外における学会発表に関しては、水環境学会、環境フォーラム、微生物生態学会の参加旅費、またIWA(国際水環境学会)への参加旅費として研究費を執行する予定でいる。また論文投稿時に行う英文校閲費等に使用することを想定している。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2013 2012 その他

すべて 学会発表 (4件) 備考 (1件)

  • [学会発表] 下水処理メタン発酵プロセスにおいて高頻度に検出される未培養微生物の集積化と機能推定2013

    • 著者名/発表者名
      井口晃徳, 千葉有紀, 林真由美, 山口隆司, 原田秀樹, 重松亨.
    • 学会等名
      第47回日本水環境学会年会
    • 発表場所
      大阪工業大学 (大阪市)
    • 年月日
      20130311-20130313
  • [学会発表] 下水処理メタン発酵プロセスにおいて高頻度に検出される未培養微生物の機能解析2012

    • 著者名/発表者名
      井口晃徳
    • 学会等名
      第2回 バイオマス&エネルギー expo in 新潟
    • 発表場所
      朱鷺メッセ (新潟市)
    • 年月日
      20121203-20121203
  • [学会発表] 都市下水処理メタン発酵プロセスにおいて高頻度に検出される未培養微生物の視覚化と定量2012

    • 著者名/発表者名
      井口晃徳, 千葉有紀, 林真由美, 山口隆司, 原田秀樹, 重松亨.
    • 学会等名
      日本農芸化学会2012年度関東支部大会
    • 発表場所
      新潟薬科大学 (新潟市)
    • 年月日
      20121027-20121028
  • [学会発表] Microbial community and functions of low-strength methane fermentation process with no temperature control.2012

    • 著者名/発表者名
      Akinori IGUCHI, Tsutomu Okubo, Masanobu Takahashi, Kengo Kubota, Takashi Yamaguchi, Yuji Sekiguchi, Toru Shigematsu, Nobuo Araki, Hideki Harada.
    • 学会等名
      28th Annual Meeting of the Japanese Society of Microbial Ecology (JSME2012)
    • 発表場所
      豊橋技術科学大学 (豊橋市)
    • 年月日
      20120920-20120922
  • [備考] 新潟薬科大学 産官学連携推進センター

    • URL

      http://www.nupals.ac.jp/liaison/news/2012/12/expo.html

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公開日: 2014-07-24  

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