住民の求める機能と行動を満たしながら環境負荷を減らし、低炭素社会形成を実現していくためには、短距離の移動手段として自転車利用を促進することは重要なことである。本研究では、神戸市域においてアンケート調査を実施し、自転車利用者の環境負荷低減行動を支配する意識と行動の因子間の構造を解析し、モデル化するために、因子分析により影響する因子を抽出した。その結果をもとに意識と行動のパス解析モデルを作成した。自転車利用の促進を構成する様々な属性間の相対的価値を共分散構造解析により解析を行い、パス解析の結果にもとづき、節電意識と自転車利用の関係を明らかにした。具体的には、自転車利用の促進におよぼす影響について、因子分析により明らかとなった住民の節電意識の規定因子と自転車の利用意識との関係を表す標準化係数と有意確率を算出した。自動車利用をしている人が公共交通機関(電車、バス等)を利用することは環境負荷を減らすことにつながる。そのため、自動車利用をしている人が①自転車利用、②電車利用、③バス利用に替わった場合の環境負荷(CO2)を12ケース算出し、環境負荷削減の効果的な利用方法について検討した。最も効果のあるケースと最も効果の少ないケースの環境負荷の削減量の差を定量的に評価した。住民が身近な環境配慮行動を行った場合の環境負荷削減効果について検討を行った。意識しているレベルまで実際の行動がともなってくると、環境負荷を大幅に削減できることが示された。以上のように、身近な環境配慮行動を行うためには意識と行動の乖離をできる限りなくしていき、実際に行動することで環境負荷は削減されることを明らかにした。
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