研究課題/領域番号 |
24760437
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研究機関 | 阿南工業高等専門学校 |
研究代表者 |
川上 周司 阿南工業高等専門学校, 建設システム工学科, 助教 (00610461)
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キーワード | 環境微生物 / バイオリクター / シングルセル解析 |
研究概要 |
H25年度は、以下に示す二つについて研究を行った。一つは、H24年度に開発を進めたin situ HCR法の環境サンプルへの適用、また更なる高感度を目指した検討である。in situ HCR法のプロトコールが確立され、環境サンプルに対しても容易に適用できる段階まで到達できた。H25年度は、活性汚泥中の未培養微生物群の検出を行っており、in situ HCR法の環境サンプルへの適用性を実証できた。またmRNAや機能遺伝子の検出を見据え、更なる高感度化も検討しており、現在のところ、さらに2~3倍程度の高感度化に成功している。 もう一つは、微生物の細胞外物質を利用しシングルセルレベルで標的微生物を検出するアプタマーの開発である。H25年度は、アプタマーの合成のためのSELEX法の構築について重点的に検討した。当初、アンモニア酸化細菌のAMOを標的としたアプタマーの合成を行う予定であったが、AMO酵素の調整が難しく、まず大腸菌の菌体そのものに結合するアプタマーの合成によりSELEX法の実験操作の確立を行った。結果、大腸菌を検出するアプタマーの取得に成功した。しかし、得られる蛍光強度は微弱であり、酵素触媒反応を用いた高感度化が必要であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
in situ HCR法を用いた新規な微生物検出技術の開発に関しては、最終目標であるmRNA、機能遺伝子の検出に向け十分な検討と成果が得られており、最終年度のH26年度において達成可能と思われる。一方、アプタマーを用いた検出技術については、当初予定していたAMO酵素の検出までは行き着いておらず、その前のSELEX法の実験の確立におてい時間を費やしてしまった。しかし、技術的な課題の解決や実験上のノウハウを得た事は成果として大きいと考えている。H25年度で得た知見や実験ノウハウを活かし、H26年度では最終目的であるAMO酵素の検出まで実施したいと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
in situ HCR法については、当初の予定通り、mRNAや機能遺伝子に適用できるまでの高感度化を行い、さらにrRNAアプローチと組み合わせた多重染色法の確立を目指し検討を進める予定である。 アプタマーに関しては、AMO酵素の検出に向けた検討を行う予定である。具体的な課題としては、AMO酵素の大量合成を行い、複数回のラウンドに耐えれるだけの収量を得る事が重要であると考えている。また、アプタマーの特異性を確認するために数種類のアンモニア酸化細菌由来のAMO酵素を準備する必要があり、それら菌株を取得することも重要である。最終的にH25年度に構築したSELEX法を用い、AMO酵素を特異的に検出するアプタマーを合成し、純粋菌株に対し適用する段階まで達成したいと考えている。
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