研究課題/領域番号 |
24760438
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研究機関 | 独立行政法人国立環境研究所 |
研究代表者 |
平野 勇二郎 独立行政法人国立環境研究所, 社会環境システム研究センター, 主任研究員 (70436319)
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キーワード | 低炭素まちづくり / 再生可能エネルギー / ヒートアイランド / 冷房負荷 |
研究概要 |
平成24年度に行なった情報収集の結果を基にして、各自治体の提案や取り組みの事例を体系的に分類・類型化し、整理した。特徴的な事例として川崎市や横浜市、北九州市、新地町を取り上げて取り組みの状況を詳細に把握し、今後の評価対象地域について検討した。とくに、これまで評価対象地域と位置付けた川崎市に加えて、住民レベルでのICTを活用した省エネルギー実験や、火力発電所の廃熱利用、さらにLNG基地の設立による熱利用効率化などの種々の提案がなされている新地町も本研究の評価対象地域として最適であると判断し、自治体の政策担当者との協議を通じてCO2削減計画に直接貢献するとともに、今後のシミュレーションに利用可能なデータやパラメータも取得した。 これと同時に、評価対象とする省エネルギー・再生可能エネルギー利用技術やその導入施策について、評価モデルに組み込むための検討を行なった。とくに今年度は川崎市における木造・耐火造住宅街区を対象として夏季の冷房負荷軽減策や、そのCO2削減効果、ヒートアイランド緩和効果についてのシミュレーションを行った。また、屋上緑化による低炭素効果について、水収支を考慮した対策評価を行なった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
今年度は主に新地町等において、自治体の政策担当者と直接協議する機会を多く設定することにより、今後の評価に必要な情報取得を効率化し、また昨年度に本研究において行った情報収集の結果に基づいて種々の知見の提供を行った。種々のCO2削減計画の事例について情報収集することは計画通りであるが、この結果から具体的な自治体のCO2削減計画に直接貢献することができたことは当初の計画を上回る成果である。シミュレーションについても概ね計画通りに準備を進めているが、現段階の成果で4回の学会発表を行い、さらに評価方法などについても検討を加えて2報の国内学術論文の掲載に結びつけたため、超過達成したと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
平成24、25年度に行なった省エネルギー・再生可能エネルギー利用技術に関する調査結果に基づいて、各技術のパラメータを熱環境シミュレーションに組み込む作業を行なう。負荷変動や外気条件に応じて機器運転状況やエネルギー効率や排熱特性が変化する技術については、必要に応じてサブモデル化する。 次に前述した熱環境シミュレーションモデルおよび各施策・技術のサブモデルを、従前より開発を進めてきた都市・街区の土地利用、建築物、気象条件に関する情報ならびに施策導入の前提条件の入出力やCO2排出量の算出が可能な計算プラットフォームに組み込み、シミュレーション評価を行う。最終的には、得られた結果を低炭素やエネルギー安定供給と都市空間の熱環境改善とを両立するためのヒートアイランドの予測評価や対策提案、最適配置提案などの形で取りまとめ、成果の発表を行なう。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度に自治体の政策担当者との協議や環境省の委員会などの機会を活用して情報を収集・整理する作業を効率化し、研究協力者の人件費・謝金を削減することができた。この平成24年度からの繰り越し分の一部を用いて、平成25年度は成果発表旅費や論文別刷り印刷、論文掲載料などの成果発表のための経費を増やすことができた。平成25年度は全体としては概ね当初の計画通りであったが、平成24年度からの繰り越し分の全額を使い切ることにはならなかったため、さらに平成26年度使用額が生じた。 研究は当初の計画以上に順調に進行しており、学会等において成果発表する価値がある知見も多く得られているため、平成26年度は成果発表のための旅費や学会参加費を増額して使用する予定である。
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