平成25年度までに行った事例調査に基づき、川崎市を対象とした都市熱環境シミュレーションを行った。今年度は窓面の日射遮蔽、太陽光発電(PV)パネル導入、壁面・屋根面の高断熱化、室内機器の更新、冷房温度の変更の5つのCO2削減方策を評価対象として選択し、コベネフィットとしてのヒートアイランド緩和効果を含めた評価を行った。 この結果、いずれの対策も省エネルギー効果とCO2削減効果が明確に生じた。また、省エネルギー効果と気温変化の関係を検討した結果、気象条件や街区条件によるばらつきが大きいものの、CO2削減方策の導入により気温低下効果が生じているケースが多く見られた。これは人工排熱削減によるヒートアイランド緩和効果が生じていることを示唆している。ただしPV導入ケースではいずれの街区においても気温が若干上昇しており、発電や日射遮蔽による人工排熱減少よりも、屋根面の低アルベド化の影響が大きく生じたことが推察される。また、高断熱化ケースでは建物表面の熱容量が小さくなるため、表面温度の変化幅が大きく、影響の生じ方が街区の条件により異なる結果となった。ただし、本研究において評価対象としたCO2削減方策はいずれも気温への影響は日平均値では0.1℃以下であり、気温への影響は大きいとは言えないという結果となった。
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