生息地の消失や創造の起こりやすい東京湾のようなメソスケールにおいて、分散能力など生態的特徴の異なるムラサキイガイとホソウミニナのメタ個体群構造を明らかにし、環境変動に対するメタ個体群構造の応答が異なる可能性についても検証した.既往文献と独自に開発したSSRマーカーを使って解析し、1)ムラサキイガイとホソウミニナには遺伝的分化の程度に大きな差のないこと、2)両種ともに西岸と東岸の一部の個体群間に遺伝的交流のある可能性、3)ホソウミニナの方が保守的なメタ個体群構造である可能性、を示唆する結果が得られた.これらの結果について、分散能力(内的要因)と循環流(外的要因)との関連から考察した.
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