研究課題/領域番号 |
24760441
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
白井 和貴 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (20610968)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 制振構造 / 地震応答 / 最適制御設計 / 最適ダンパー / 建物地盤動的相互作用 / 非線形応答 / 伝達関数 / 振動台実験 |
研究概要 |
本研究の目的は、層間ダンパーを有するパッシブ制振構造を対象として、建物と地盤の動的相互作用を考慮した強震時の制振効果を最大化する最適なダンパー特性を明らかにすることである。具体的な目標として、(1)ダンパーを付与した上部構造モデル+スウェイ・ロッキング地盤モデルを対象に地盤の硬軟が最適ダンパー特性に及ぼす影響を理論的に検討すること、(2)制振構造と周辺地盤を模擬した縮小模型の振動台加振実験を行い最適ダンパー理論の妥当性を検証すること、が挙げられる。これらより、試行錯誤的な時刻歴地震応答解析に依らずに効率的なダンパー解を理論的かつ簡易に評価する方法を開発することが最終的な成果目標である。 平成24年度の実施内容の概要は、次の通りである。まず、建物地盤動的相互作用を考慮した最適ダンパー特性の理論的および解析的検討を実施した。層間にダンパーを有するパッシブ制振構造の上部構造モデル+スウェイ・ロッキング地盤モデルを用い、地震応答を最小化する最適ダンパー特性に対して地盤性状が及ぼす影響について、理論的評価を行った。建物-地盤連成系の伝達関数に着目し、その評価指標(地震動の周波数特性を考慮した重み付き2乗平均平方根など)を最小化する最適ダンパー解について検討した。さらに、時刻歴地震応答解析を実施し、伝達関数に基づく理論的評価手法の妥当性を検証した。これらの結果、建物地盤動的相互作用を考慮すると、地盤と建物の条件によっては基礎固定の場合と比べて最適ダンパー解が大きく異なる可能性があることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までの達成状況は、ほぼ当初計画の通りであり、おおむね順調に進展している。平成24年度には、建物と地盤の動的相互作用を考慮したパッシブ制振構造の最適ダンパー特性に関する理論的検討を実施するとともに、パラメトリック時刻歴地震応答解析による比較検討を実施している。また、次年度の振動台実験で使用する小型振動台の配備を完了している。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は、以下の2項目を実施する計画である。 1.振動台を用いた動的加振実験:ダンパーを有する制振建物と周辺地盤のスウェイ・ロッキング性状を模擬した縮小試験体を製作し、振動台による加振実験を行うことにより、平成24年度に検討した最適ダンパー特性の評価理論の妥当性を検証する。 2.最適ダンパー評価法の開発:平成24~25年度の研究成果を総合し、地盤の影響、特に建物と地盤の動的相互作用を考慮した鉄筋コンクリート造パッシブ制振構造の最適ダンパー評価法を開発する。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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