研究課題/領域番号 |
24760444
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
北垣 亮馬 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (20456148)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
|
キーワード | セメント硬化体表面 / 凹凸形状制御 |
研究概要 |
1)太陽熱を制御できるセメント硬化体表面設計技術の確立.季節によって太陽熱を制御できるセメント硬化体薄膜は,それぞれの手法や用途によって CO2削減効果が異なると考えられる.本研究では,凹凸の制御によってセメント硬化体表面の太陽熱反射率の角度依存性が生まれることに着目し,既存の薄膜作成技術と凹凸設計技術をセメント硬化体に用い,表面微細凹凸にバリエーションをつけた厚さ50mmのコンクリート供試体を作成した.その結果,セメント硬化体表面への入射光に対して,反射率が角度依存性をもつ表面形状を考案し,実際に,精密切削機器を用いて,50μm幅,深さ100μm程度の凹凸形状をセメント硬化体表面に作成できる手法を確立した. 2)セメント硬化体薄膜の表面性状の基礎物性の整理と太陽熱制御のための基本評価指標の提案.セメント硬化体表面の反射率の角度依存性によって,熱移動にどのような影響を与え,結果として建築空間に適用された場合の空間の熱環境性能を評価するために,建築材料の施工までの二酸化炭素排出量と,空間の熱環境性能を評価するためのデグリーデー法に基づいて得られた建築材料の省エネ効果から得られる二酸化炭素排出削減量を比較することで,この建築材料が利用された場合に及ぼす二酸化炭素排出量削減量と消費電力の削減量の効果を評価する手法を提案した. 3)太陽光を考慮した建築材料の熱収支・熱物性測定装置の完成.一般に建築物の熱移動は太陽光,気温,風雨などの変動条件下で実施され,実大のモデルハウスを用いた暴露実験によって検証される・しかし,材料サンプルレベルでこれらの複合要因を精密に(太陽光角度,内外気温差,湿度差)を制御して熱移動を模擬できる測定装置は少ない.本研究の初年度としてこれを完成させた.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
測定装置の作成とセメント硬化体の微細加工の確立に時間がかかり,熱物性,空隙分布,分光反射率分布,太陽エネルギーの熱収支を試験が実施できていない.
|
今後の研究の推進方策 |
今後,作成した装置とセメント硬化体を用いて実測を重ね,計画通りの遂行を行う予定である.
|
次年度の研究費の使用計画 |
促進劣化耐久性試験に基づくACR性能の評価・改良→太陽熱制御型コンクリート表面の完成へ 太陽熱制御型コンクリート表面供試体を前年度作成した装置によって実測した上で,前年度用いた評価指標によって評価する.そして,供用年数に比例してCO2回収性能が高い表面形状や材料設計を見出し,太陽熱を制御する表面形状と,表面形状によって異なる太陽熱の入出力の計算方法を明らかにし,実際に求められる形状を提案する.
|