本研究では、鉄骨と繊維補強コンクリートのみで構成されるCES構造における柱梁接合部の設計手法を構築することを目的としている。H25年度はCES造柱梁接合部の構造因子が接合部のせん断強度に及ぼす影響を明らかにすることを課題として、CES造柱梁接合部(せん断破壊型)の構造実験を実施するとともに耐力性能の評価法の構築を行った。 構造実験においては、接合部パネルの鉄骨フランジ幅およびコンクリート部の幅を実験変数とした試験体3体を用いて静的加力実験を実施し、それらの構造因子がCES造柱梁接合部の構造性能に及ぼす影響について明らかにした。得られた知見を以下に示す。 パネルゾーン内蔵鉄骨フランジ幅を変数とした試験体においては、ひび割れ状況に差異はみられたが,パネルゾーン内蔵鉄骨フランジ幅および柱幅が,変形性状やパネルゾーンの復元力特性にほとんど影響を及ぼしていないことが確認できた。H24年度の解析的研究により、接合部パネルにおいて鉄骨に囲まれたコンクリートの応力は鉄骨に囲まれていないコンクリートに比べて大きくなることを明らかにしたが、今回の実験において鉄骨に囲まれるコンクリートの領域が変わっても一般的な断面においては、全体的にみて接合部パネルの耐力性能および変形性能に及ぼす影響は小さいことが実験的に確認された。また、接合部パネルのせん断強度およびせん断ひび割れ強度を含めたせん断変形とせん断力の関係の骨格曲線のモデル化を行い、若干、安全側となるが評価可能であることを示した。
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