本研究では、まず、過去に行った改質フライアッシュ混入コンクリートの収縮ひび割れ性状を確認することを目的に、コンクリート用に提案されている供試体寸法が100×100×1100mmの鉄筋埋設型ひび割れ試験方法をモルタル用に改良した供試体寸法が40×40×160mmの簡易な小型鉄筋埋設型ひび割れ試験を行い、コンクリートの場合と同様に、材齢28日強度をそろえた場合、改質フライアッシュモルタルのひび割れの発生は無混入と同等であり、考案した小型モルタルひび割れ試験によってコンクリートのひび割れ性状の評価が可能であることを明らかにした。ただし、混合砂を用いたモルタルはすべての供試体にひび割れが発生したが、石灰砕砂を用いたものには乾燥期間50日でもひび割れが発生せず、使用する骨材によって収縮ひび割れ性状が大きくことなり、混和材混入コンクリートやモルタルの収縮ひび割れ性状を明らかにするには使用する骨材との関係についても検討する必要があることが今後の課題として残された。 次いで、改質フライアッシュおよび高炉スラグ微粉末を混入したコンクリートに対し、材齢28日での圧縮強度を同一とするとともに、混和材による流動性改善効果を考慮し、スランプで単位水量を調整した調合で圧縮強度試験、自己収縮試験、乾燥収縮試験および鉄筋埋設型乾燥収縮ひび割れ試験を行った。その結果、自己収縮ひずみおよび乾燥収縮ひずみは改質フライアッシュおよび高炉スラグ微粉末混入による明確な差はみられないこと、ひび割れ発生材齢は、混和材無混入に対して、改質フライアッシュを混入すると同等で、高炉スラグ微粉末を混入すると早くなる傾向があること、ひび割れ発生時の割裂引張強度に対する応力強度比は混和材の種類によらず0.6~0.7程度であること、ひび割れ発生材齢と拘束応力には高い相関性が見られることを明らかにした。
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