研究課題/領域番号 |
24760458
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
張 景耀 名古屋市立大学, 芸術工学研究科(研究院), 准教授 (50546736)
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キーワード | テンセグリティ構造 / 二十面体対称性 / 群の表現理論 / 一般逆行列 / Isogeometric Analysis / ケーブル構造 |
研究概要 |
本年度には、下記の研究成果が得られた。 ① 一軌道の二十面体対称性を持つテンセグリティ構造に対して、ケーブルの接続関係を入れ替えることより二軌道の二十面体対称性を持つ構造を創生した。また、群の表現理論を用いて、二軌道の構造は一軌道の構造と同様な軸力モードおよび自己釣合い形状を有することを示した。さらに、二軌道の構造は多数のメカニズムが導入されたため、一軌道の構造の安定性より弱く、prestress-stableであるが、super-stableではないことを示た。 ② 自由形状を有するテンセグリティ構造を創生し、与えられた初期形状に近い自己釣合いを決定するために、大変形解析手法を適用した。しかし、テンセグリティ構造は自立な構造であり、剛体変位が拘束されていないため、その接線剛性行列は特異となる。この問題を解決するため、本研究では接線剛性行列の一般逆行列を利用し、剛体変位およびメカニズムに対応する成分を排除できる手法を提案した。また、テンセグリティ・タワーおよびテンセグリティ・アーチなどの例題により、提案手法の有効性を確認した。 ③ 張力空間構造によく使われるケーブル構造を対象とし、その自重または等分布荷重による釣合い形状を決める大変形問題に対して、曲線および曲面構造に適合性の高いIsogeometric Analysis法を適用した。理論解および通常の有限要素法と比べ、提案手法の高い精度を確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要にまとめた通り、おおむね予定していた目標を達成できた。
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今後の研究の推進方策 |
① Star-shapedテンセグリティ構造および二十面体対称性のテンセグリティ構造などの二軌道の高い対称性を有する構造物に対して、自己釣合い解析と安定性条件その軸力密度行列のブロック対角化は、半解析的手法により研究を行ってきた。H26年度には、二軌道の高い対称性を有するテンセグリティ構造に対しても、解析的定式化を誘導する予定である。 ② 既往研究にて明らかにした複数の安定形状をもつ二面体群対称性を有するStar-shape構造に対して、剛性行列のブロック対角化定式化に基づき、接線剛性が特異となる座屈点を探し、その後の分岐経路を解析する。 ③ 二面体群対称のPrismatic構造に対して、剛性行列のブロック対角化定式に基づき、軸力レベルによる振動特性への影響を調べる。
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次年度の研究費の使用計画 |
H25年度に科研費で予定していた物品の購入は、財団および学内の助成金から捻出することができた。 H26年度に研究連携者が研究成果の一部をイギリス・ケンブリッジ大学に開催される国際会議にて発表するための旅費や、解析ソフトおよび計算機の購入に充当する予定である。
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