① 二面体群対称をもつ角柱状テンセグリティ構造を研究対象として、その高い対称性を利用し、軸力密度行列のブロック対角化により、水平ケーブルが隣接節点につながれる場合に無条件安定となることを、既往研究より一般性のある方法によって証明した。 ② テンセグリティアーチやタワーなど複雑な形状を有する構造物の形態創生のため、動的緩和法を採用した。より単純なテンセグリティ構造を対象とし、解析パラメータをチューニングしてその収束性能を向上させる方法を提案した。複雑なテンセグリティ構造の例題により、提案手法は設計者の望ましい形状に収束できる有力な方法だと考えられる。 ③ 指定形状に近づけるように、一般逆行列を使用した不安定構造のための非線形解析法と、最適化技術を融合したテンセグリティ構造の形状決定法を提案した。この提案手法によっては、設計者に指定された形状に解を得ることができる。 ④ テンセグリティ構造の形状決定と展開プロセスのシミュレーションをひとつの最適化問題として統一した。また、多様な形状を生成できるように、仮想材料に関する定式化を提案した。更に、目的関数の局所的凸性について検討した。提案手法が適応しにくいケーブルの初期長さが小さい場合に、アフィン変換を使用した代替方法も提案した。 ⑤ 逆懸垂系連続アーチの形態創生に、滑動節点をもつケーブルの自重解析法を提案した。曲線構造の解析には、CAD と同様の関数で表現することでデータ変換が不要となるIsogeometric Analysisを採用した。また、非線形の強い不安定構造の解析には一般逆行列を利用した。力学的合理性のある連続アーチの様々な形態を獲得できた。また、反転圧縮場において、滑動解析によって得られた形態は空間内部の水平方向成分力がゼロになるだけでなく、アーチ境界に生じる曲げモーメントの小さい軸力支配型の連続アーチの形態となった。
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