研究課題/領域番号 |
24760468
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
藤田 浩司 神戸大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (40513536)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 潜熱 / 蓄熱 / 推定 |
研究概要 |
本研究では、流体と熱交換を行う潜熱蓄熱体について、潜熱蓄熱材の蓄熱量と流体の流出温度の時間変化を潜熱蓄熱材および流体の物性値と流体の流入温度に応じて推定できる式を提案し、その妥当性を確認することを目的としている。 推定には潜熱蓄熱材の相変化温度、相変化熱、熱伝導率等の物性値が必要となる。純物質ではない潜熱蓄熱材は固相と液相が混合した状態(固液混合状態)となる温度に幅を持つ。DSC測定により温度と蓄熱量の関係を測定し、固液混合状態となる温度と相変化熱を同定した。このとき、温度と蓄熱量の関係は、潜熱蓄熱材への熱の流入速度の影響を受けることが明らかとなったため、その影響を表現するモデルの提案を行った。また、固液混合状態における熱伝導率について実験を行って検討し、温度が高くなると小さくなること、固体の熱伝導率と液体の熱伝導率の相加平均を用いると誤差20%以内で実測熱流を表現できること、固体の熱伝導率と液体の熱伝導率の融解割合に応じた重みづけ平均の熱伝導率を用いると誤差20%以内で実測熱流を表現でき固体・液相に近い温度域の熱流の再現性が良いことを明らかにした。 流体が水の場合の蓄熱量と流体の流出温度の時間変化の推定式について、既に提案している流体が空気の場合と近似方法を変えて提案した。ただし、これらの推定式は固液混合状態となる温度に幅を持たない場合を前提として考えているため、固液混合状態となる温度に幅を持つ場合の推定式についての検討が今後必要となる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初の予定では、平成24年度は、1.潜熱蓄熱材の熱物性値の測定、2.熱交換実験、3.熱交換の数値計算モデルの作成、4.数値計算モデルによる熱交換実験の再現、5.実験結果および数値計算結果との比較による既に提案している推定式の妥当性の確認、6.推定式の適用範囲の検討、の実施を予定していた。しかし、既に提案していた推定式は実際には幅を持つ固液混合状態の温度について幅を持たないとして考えていため、固液混合状態における熱物性値と温度の関係について詳細に検討する必要が生じた。そのため、熱交換実験の実施に至らず、1.と3.のみの実施となった。
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今後の研究の推進方策 |
固液混合状態の温度が幅を持つ潜熱蓄熱材を対象とする。 1、境界条件として潜熱蓄熱材の表面温度が与えられる場合の蓄熱量の時間変化について、実験、数値計算による再現、推定式の提案を行う。 2、流体と熱交換を行う場合の蓄熱量の時間変化について、実験、数値計算による再現、推定式の提案を行う。推定式は、既に提案している固液混合状態の温度が幅を持たない場合の式を基として何らかの補正方法を検討する。その後、推定式の適用範囲の検討を行う。これらの検討は流体が空気の場合と水の場合それぞれについて行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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