研究課題/領域番号 |
24760473
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
KIM Hyuntae 早稲田大学, 理工学術院, 助手 (90580382)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 韓国 / 大邱 / SVOC / DEHP |
研究概要 |
室内で多く使用しているPVC系の床材、壁紙、プラスチック生活用品から放散されたフタル酸エステル類が子供の健康被害を与えていることやPVC床材を使っている住宅の子供が喘息の発病率が高く、PVC床材を使っている部屋が多いほど子供の喘息発病率が高かったと報告している。そのため、一般住宅におけるハウスダスト中SVOC濃度に関する実態調査と共にハウスダスト摂取による子供達のDEHP経口摂取量を推定してきた。しかし、ハウスダストの摂取経路は経口のみではなく、経皮によって吸入することも懸念されている。幼児のSVOC摂取量に関するリスク評価は経口摂取による評価も大切であるが、幼児は床面に直接接触する機会が多く、這い始めた幼児が手のひらに付着した可塑剤を直接なめることや床面と皮膚接触によるSVOCの皮膚吸収量が多くなる可能性も考えられる。そこで、本研究では床面のSVOC濃度と子供のSVOC曝露リスクを評価する一連の研究として、拭き取り法を用いてPVC床材からの表面SVOCブリードアウト量に関する実験室実験を行った。その結果、PVC系床材はハウスダストが無くても、試験体の表面にブリードアウトされることが確認された。また、捕集ノズルを用いて模擬ダストを除去しても、試験体表面にブリードアウトされ、DEHPが残留することが確認された。更に実住宅における床面SVOC濃度を低減させるためには掃除機のみではなく、ブリードアウトを取り除く拭き取りなどが効果があると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1時年度の研究目的は既存の室内SVOC汚染濃度の測定方法が複雑であり、専門家ではないと測定することが難しかった。そのため、マニュアルさえあれば測定できる測定方法を開発することが目的であった。今年度の研究により非専門家であっても室内の床面SVOC付着濃度が測定出来る用に工夫した。また、既往研究のハウスダスト中SVOC濃度と拭き取り法によって測定したデータの比較も行い、ハウスダストよりPVC系の床材の場合、表面に可塑剤などがブリードアウトされ、床面に高濃度に存在していることが分かった。 韓国の研究者達に協力していただき、韓国住宅における実態調査も無事に終えることが出来った。また、来年も協力していただくようにお願いし、共同研究を行うこととした。
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今後の研究の推進方策 |
マニュアル化されている測定方法を用いて、非専門家が床面SVOC濃度のサンプリングが出来るかどうかを試してみる。また、室内のSVOC濃度の削減方法を立てるため、ハウスダスト中SVOC濃度と床材のSVOC放散速度との相関性を調べてみる。 韓国住宅における室内の仕上げ材のリフォームによるSVOC汚染濃度の程度と経時変化を測定したい。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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