研究概要 |
本研究は、地域レベルでの省エネルギー・CO2削減対策として、未利用エネルギー源である清掃工場ごみ焼却排熱の広域利用を目指す。エネルギー利用効率化の為には、建物や地域が、清掃工場排熱用の担い手となることが必要である。本研究では清掃工場排熱の熱利用拡大を図るために地理情報システム(GIS)の空間解析手法を用いて街区での熱需要特性を解析し、エネルギーの高効率利用が可能となる建物や地域を抽出するとともに、清掃工場排熱を熱利用した場合の省エネルギー・CO2削減効果を示す。以下に研究成果の概要を示す。 1)東京都都市計画地理情報システムの建物データ(建物用途、建築面積、建物階数)と、既往研究で調査・整理された各種用途別のエネルギー消費原単位統計値を用いて、東京23区内の町丁目ごとの建物エネルギー消費量に関するデータベースを作成した。 2)東京23区内に立地する一般可燃ごみを焼却処理している清掃工場の稼動状況を調査し、可燃ごみ量とごみの発熱量から試算されるごみ焼却排熱のエネルギー量を求め、積極的な熱供給利用を行った場合に施設外へ供給可能な熱エネルギー量を求めた。 3)シミュレーションにより清掃工場排熱を周辺建物へ熱供給した場合の環境負荷低減効果を求めた結果、排熱利用率が高くなるほど環境負荷低減効果も高くなり、最大想定の50%利用時には、20箇所の平均で10.6%の年間一次エネルギー消費量削減、10.3%の年間CO2排出量削減となった。 4)清掃工場排熱の供給範囲は最大で532町丁目まで拡大でき、東京23区全3131町丁目の17.0%に相当する。その時の供給対象建物の延床面積は3,301haで、5,000m2以上全建物延床面積22,546haの14.6%に相当する。また、排熱の利用熱量は3,287TJ/年となり、熱供給利用想定量の75.7%に相当する。
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