本研究では空気の質のよさがどのように評価されているか,という点に着目する.実住宅での環境物理量を測定し被験者実験より体感・心理量と生理データを得る.これらデータの統計解析を通じ空気の質のよさ意識構造を明らかにすることを目的とするものである.平成26年度の研究実績の概要は以下の通りである. 平成24年,25年に実施した研究成果を踏まえて,室内化学物質を低減した商業施設を計画・工事監理と濃度評価を実施した結果を解析し,平成26年室内環境学会学術大会にて発表した.また,住空間の化学物質の低減を目的とし,室空間を構成する様々な要因と室内TVOCの関係を解析した結果よりTVOCを低減した室空間の計画・設計支援ツールを開発した.開発したツールを用いて設計・計画した実住宅の濃度と予測結果を比較し,ツールの有効性を確認した.これらの研究成果を広く社会に還元するために,これから住宅を計画・建設する施主や施工者が,ツールを用いたシミュレーションを実施できるよう,ツールをウェブサイトにアップロードした.本研究課題を構成する,室内化学物質濃度と建築材料の関係に関する研究,建築材料の種類と大きさの違いが材料の印象評価に与える影響に関する基礎的研究,脈拍数の測定と脈拍比による分析:空間の差異と生理反応・心理評価の研究を総括し,研究報告書をまとめた.そして,一連の研究成果を,次世代社会基盤の構築,予防医科学と建築・都市デザインの連携として総括し,第12回日本予防医学会学術総会にて発表した.
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