本研究では、縮退する都市と農村に共有しうる環境基盤について、流域などの生態的な空間単位を基礎とし、大規模自然災害に対するライフラインとしての機能、事前復興の視点も含めた評価の考え方を提示することを目的とした。都市と農村が拮抗する地域は、人口減少による社会変化がこれまでに構築された自然・人工の基盤(グレイインフラ・グリーンインフラ)の維持に与える影響が大きいと考えられる。研究では、まずこの環境基盤の構成について、旧農業用水路などかつての農業生産基盤を軸とした空間構成、佐倉市を対象とした歴史的な都市基盤の維持・更新の実情に関する調査、田園部の開発状況、集落単位での活動と環境・景観の維持の関係を分析するための基礎的なデータの作成を行った。さらに、都市農業および佐渡を対象としたエコツーリズムの視点から調査を行い、都市における農の活動と地方とのつながりについて分析を行った。本年度は、都市ー農村、上流ー下流といった広域的なつながりも踏まえて、以上の要素を整理し、流域から地域スケールまでのグリーンインフラストラクチャの考え方とその計画手法について検討した。
|