○プロセス全体の包括的視点からの分析・・・25年度末までに、企画から運転に至る各段階での建築コミッショニングが試行された。したがって、最終年度では、コミッショニングプロセス全体を振り返り、各段階での性能検証のモデルを整理するとともに、その効果と問題点、今後の可能性を明らかにした。各段階の当事者(発注者、設計者、施工者、運転管理者)への継続的インタビューによって、従来の、各段階で当事者が異なることの生む問題を明らかにすると同時に、建築コミッショニングという手法の価値を整理することができた。 ○キャンパス全体の施設マネジメント手法の調査・・・運用段階では、施設の点検管理が重要となるが、複数の国立大学における、点検管理手法を調査し、整理した。これは今後、コミッショニングをより広義の概念としてのファシリティマネジメントの中に位置づけていくための知見となる。 ○期間全体での成果・・・(1)従来のコミッショニング・ガイドラインや実践事例の整理を行った。(2)総合研究棟を対象とした「企画~設計段階」の建築コミッショニングの整理と検証を実施した。(3)総合研究棟を対象とした「施工段階」の建築コミッショニングの試行と検証を分析し、コミッショニングの効果と可能性を考察した。(4)ES総合館でのレトロ・コミッショニングとして、計画・意匠の側面も加味した、包括的性能検証を試みた。(5)総合研究棟を対象とした「運用段階」の建築コミッショニングの試行と検証を行った。(6)他の研究施設との比較による運用状況の調査、分析を行った。(7)以上の成果により、愛知環境賞優秀賞の受賞、名古屋市の環境配慮事例集トップページ掲載など評価を得ているほか、多数の口頭発表を行い、プロセス全体の成果を、日本建築学会計画系論文集に投稿中である。
|