研究課題/領域番号 |
24760491
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
松原 茂樹 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (10399248)
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キーワード | 自閉症 / 住環境 / 不適応行動 / 感覚刺激 / こだわり行動 |
研究概要 |
住宅整備への適応可能性を探るため,自閉症児者が入居する知的障害児者入所施設の視察を5箇所行い,インタビュー調査・平面の実測・観察を行った.そのうちの1施設では数回にわたり詳細にインタビュー調査と観察調査を行った.インタビューと観察では,利用者の不適応行動・感覚刺激・こだわり行動と施設の住環境の関係を把握した.5施設の調査結果を以下にまとめる.1)走り周りや興奮による体当たりなど激しい動きにより床や壁の破損が多い.体当たりするところは壁を木材で2重にしているところもある.2)細部のこだわりによりねじやスイッチの破損が多い.またスイッチについては自動コントロールしているところもある.3)感覚刺激を求めて水遊びをすることが多い.洗面所については自動栓と回数制限の組み合わせで対応している.4)聴覚過敏の利用者の居室には窓を2重・3重にしたり,防音材を導入しているところもある.5)不適応行動やこだわりは関連する家事・趣味といった代替行動に誘導することで消失・変容が認められる.6)環境に慣れることで不適応行動・感覚刺激・こだわりが減少することもある.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
知的障害児者の入所施設の情報収集から20施設ほどに候補施設を絞り込み,そこからさらに10施設程度を選び視察を予定していたが5施設しかできなかった.しかしそのうちの1施設については数回にわたり詳細にインタビュー調査と平面の実測調査を行うことができた.残りの4施設はインタビュー調査・観察による建物の工夫と問題点の把握にとどまった.
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今後の研究の推進方策 |
2013年度に予定していた施設の10施設程度のうち残り5施設程度のインタビュー調査などを行う.そして再び住宅で過ごす自閉症児者等の住環境整備に関する調査として,プライバシーの問題もあるが協力いただける当事者や家族にインタビューを行い,住環境整備のあり方について提案を行う.
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次年度の研究費の使用計画 |
当初予定していた視察施設数を行わなかったため 当初の見込額と執行額は異なったが研究計画に変更はなく,前年度の研究費も含め当初予定通りの計画を進めていく. 知的障害児者入所施設や自閉症児者の住宅の視察調査(インタビュー・平面実測等)を行うため,旅費,訪問施設への謝金,建物状況を記録・保存するためのデジタルカメラ,ICレコーダー,また社会動向や研究動向を広く把握するため図書・資料を購入する予定である.
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