研究課題/領域番号 |
24760496
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
大西 康伸 熊本大学, 自然科学研究科, 准教授 (20381006)
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キーワード | FM / 維持保全 / 運営管理 / BIM / ウェブ / データベース / リモートセンシング / センサネットワーク |
研究概要 |
昨年度開発した、「BIMCADを用いて構築した部材属性情報を持つ3Dモデル(建築情報モデル)を、施設維持保全業務において活用する」ことを支援するウェブシステム(以下、BIMFMシステム)を、実践での利用を前提に改良した。 具合的には、1)追加検索など多様な部材検索機能の搭載、2)複数の部材属性をリスト表示する機能の搭載、3)施設維持管理には多様な主体が関係することによるコミュニケーション機能の搭載、を行った。また、本研究の目的は施設維持保全業務の支援であったが、施設運用管理業務までカバーするシステムに拡充することとした。そのため、4)スペースオブジェクトを取り扱うための機能拡充、を行った。 実践的な利活用のためには、どのような業務を支援することに利用するかを想定し、建築情報モデルの作成と付帯属性情報の選定をしなければならない。そこで、汎用性に配慮し、一般的な中規模事務所建築での維持管理業務での活用を想定し、ビル管理会社が通常行う日常的または定期的な点検業務や各種報告業務をもとに、BIMFMシステムに入力すべき属性情報を選定した。 さらに、人的な点検だけでなく、リモートセンシング技術を用いて各種センサが自動的に現在の各室や各設備の状況をリアルタイムにBIMFMシステムに集約することを目的とし、センサネットワークを用いた簡易環境計測装置を開発した。具体的には、ネットワークを用いて定期的に送られてくる室環境情報及び視覚的情報を、ウェブシステムに表示することで、ある場所に居ながらにして離れた場所の状況が把握でき、さらには履歴をとることができる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
BIMFMシステムのプロトタイプシステム開発と実践運用に向けた機能拡充は完了した。また、管理すべき属性情報の選定も終えている。以上は、研究計画にて予定していたことである。 さらに、当初予定していなかった運営管理業務のサポート及びリモートセンシング技術による施設現況状況の自動収集に着手しており、その点で当初の計画以上に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、実際のオフィスビルのビル管理業務にてBIMFMシステムを運用する予定である。運用に際し、BIMFMシステムと簡易環境計測装置の技術を統合し、リモートセンシングのデータをBIMFMシステム上に可視化する機能を拡充する予定である。また、運用方法として、現在のところ現場での点検は従来通り紙と鉛筆で行い、それを持ち帰り、PCからBIMFMシステムに入力することで、各種報告業務に必要な書類が自動作成される機能を拡充する。さらに、紙ベースの報告書では不可能であった、3Dによる視覚化を活用した、より多様な履歴や現状のビジュアライズによる維持管理支援を目指し、運用を行うことを試みる。 運用結果を評価し、それを検証することで、メリットと今後の課題を明らかにする。
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次年度の研究費の使用計画 |
学会参加費や論文登録料等として計上していた「その他」予算の執行が0であったことが、次年度使用額が発生した最も大きな原因である。 消費税が8%になり、物品購入をはじめ様々な影響が出るため、その補填に使用する。
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