平成26年度は、とくにイギリス、フランスの2カ国を中心にとりあげ、離別女性の住まいに関する日本との比較分析を行った。 イギリスについては、The British Household Panel Survey(BHPS)のミクロデータを利用し、離別ケースを抽出したうえで、離別時の住宅移動や離別前後の生活変化について独自集計を行い、日本の調査結果との比較を行った。離別時の女性の転居率が日本よりも低い要因として、住宅所有の名義や、夫婦財産制、居住権保障等の違いが影響していることが示唆された。 フランスについては、The Luxembourg Income Study Database(LIS)を利用し、離別女性世帯の住宅所有形態、アフォーダビリティ(住居費負担)等を明らかにした。また離別女性やひとり親家庭の住宅支援を行っている関連機関(パリ市、ピエール神父財団、ひとり親家庭NGO連合FSFM、母子寮等)を訪問し、取り組み内容や課題についてヒアリングした。またフランスの大都市圏に居住する離別女性を対象に、住まいに関する定性調査を実施した。上記の調査結果の分析から、とくに子どもを抱える離別女性の住まいの確保、アフォーダビリティの改善に関して、社会住宅への入居や住宅手当の受給が重要な役割を果たしていることが明らかになった。 現地調査は2カ国を予定していたが、円安の影響等があり、フランス1カ国での実施となった。
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