戦後日本の住宅システムは、世帯主である男性勤労者が持家を取得することを前提としてきた。しかし日本では結婚や家族形成のあり方が大きく変化し、離婚の増加が顕著である。本研究は、日本と異なる住宅システムとジェンダーの傾向をもつ欧州諸国を比較対象として、離別女性の住宅経歴の実態分析を行うところから、日本の住宅システムの実態と課題を明らかにするものである。国際機関が提供するパネル調査や独自調査の結果を分析したところ、住宅システムの違いにより、各国の離別女性の住宅経歴には異なる傾向がみられた。日本では離別時の女性の転居率が顕著に高く、移動を経験した女性は厳しい住宅条件におかれている。
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