研究課題/領域番号 |
24760499
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
門脇 耕三 明治大学, 理工学部, 講師 (40336524)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 住宅論 / ストック活用 / 団地 |
研究概要 |
平成24年度は、①本研究で開発する構造壁・梁撤去技術を、現実に適用可能なレベルにまで高めるとともに、②実際の公共集合住宅の一住戸を対象とした改修計画を策定することによって、技術的な課題を明らかにした。また、ここで策定する改修計画は、内装・設備の更新計画まで含んだものとし、適切なコストで住宅のトータルとしての価値・魅力を最大限高めるための、最適な要素技術の組み合わせを明らかにした。 ①に関しては、基本的な構造壁・梁撤去手法の考え方について構造解析などの検討を終え、実施可能であるとの結論を得た。さらに、撤去を行わない構造壁については、炭素繊維補強、鉄板補強など、いくつかの補強方法を検討し、施工のシミュレーションやコスト分析などのフィジビリティスタディを行った。梁撤去後のスラブについては、梁せいの小さいV字型の見付をもつ鉄骨梁による補強方法を考案し、また、これが重量床衝撃音に対する遮音性能も改善することを明らかにした。 並行して、②実際の公共集合住宅の一住戸を対象とした改修計画を立案した。改修計画の立案は、①とのフィードバックを繰り返しながら行った。内装計画に関しては、公的な集合住宅の供給主体との意見交換などを実施しながら、既存の改修用要素技術を効果的に組み合わせる計画とした。ただし、ここでは住宅の全ての性能を向上させることを目的とはせず、若年核家族、高齢夫婦世帯など、明確な居住者像を設定することによって、適切なコストにより居住者の満足度を最大限高められるように内装計画を最適化した。また、間仕切り壁を構成する内装システムの開発も行い、実大の試作実験を行うことによって、その有効性を確認した。開発した内装システムは、狭小な躯体においても自由な平面計画が可能となるように、曲面壁なども実現可能なシステムとした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究は、住戸内の構造壁・梁を撤去することによって、昭和40年代に建設された壁式構造の公共集合住宅ストックを、現在の住要求に適合した住宅として蘇らせる技術を開発することを主要な目的としている。これらの集合住宅の改修に際しては、戸別改修技術の開発が望まれており、本研究で目指すのも、戸別改修が可能な既存構造躯体撤去技術の開発である。 2012年度に設定した目標は、①本研究で開発する構造壁・梁撤去技術を、現実に適用可能なレベルにまで高めるとともに、②実際の公共集合住宅の一住戸を対象とした改修計画を策定することによって、技術的な課題を明らかにすることであるが、①および②の目標は、当初の計画通りに達成することができた。 また、上記の目標を達成するための研究を進める過程で、既存の内装システムでは、スラブ補強のために傾斜した天井に追従できないなどの課題が明らかになり、これを解決するため、新たな内装システムの開発を行い、その有効性を実大の試作実験により確認した。さらに、ここで開発した内装システムは、曲面壁などを構成することが可能なものとし、従来の内装システムより細やかな住戸計画に対応できるなど、狭小な住戸面積をもつ集合住宅住戸の改修一般に有効であることを確認した。 以上の通り、2012年度は、当初設定した目標以上の研究成果が得られているため、「当初の計画以上に進展している」と評価可能である。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は、③平成24年度に策定した改修計画を、詳細設計レベルまで発展させる。さらに、この計画に基づき、④法規・建設コスト・維持管理コスト等の観点を含んだフィジビリティスタディを実施する。 ③の詳細設計にあたっては、平成24年度に策定した改修計画を発展させるかたちで行うが、実務設計的な知見が求められる局面が想定できるため、建築設計実務者に研究協力を仰ぐ計画である。 ④の法規・建設コスト・維持管理コスト等の観点を含んだフィジビリティスタディについても、平成24年度の成果を引き継ぎながら、集合住宅の改修計画策定時に広く用いることができるように、改修時の留意点を整理し、マニュアルとして取りまとめる。また、集合住宅の大規模改修事例を30事例程度収集し、そこでの改修ニーズや適用された改修技術の整理を行うとともに、これらの事例に対して、本研究で開発した技術が適用可能かどうか検証を行うことによって、開発した技術の評価を行う。 さらに、本研究自体のプロセスの分析を行い、ストック活用時代の建築設計・生産管理のあり方について考察するとともに、成果を取りまとめ、報告書を作成する。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし。
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