研究課題
若手研究(B)
本年度は、既往文献等により日本と北米における開発協議の運用や課題の再整理を行い、ゾーニング条例や開発関連法規制等を元に、米国の人口上位100都市、カナダ8都市における開発許可制度の分類、ピッツバーグ、ニューヨークにおける開発状況の概要調査、シアトル、マイアミ、トロント、バンクーバーにおける裁量的開発審査の運用実態分析を行った。アメリカの制度分類に関しては、歴史保全地区特化型と一般既成市街地型でほぼ半数に分かれ、後者のうち約2割の都市が全市域を対象とし、約2割の都市がダウンタウンを中心とした審査を行なっていた。郊外住宅地やサイン審査を対象にした都市は数都市にとどまった。審査主体としては、約8割の都市で委員会もしくは行政による裁量的デザイン審査が行われていた。カナダに関しては、バンクーバーを除く主要都市で2000年代以降にデザイン審査が導入されており、トロント、オタワ、カルガリーの3都市では数年間のトライアル期間を経ている。対象地区は主に開発圧力の高い中心市街地や幹線道路沿いが多い。審査委員はモントリオールのみ議員が入っていることが特徴であり、バンクーバー、モントリオール以外はほぼ同様の審査制度となっている。チャーター都市に着目した分類も行ったが、米国では特に顕著な違いは見られなかった。これは、アメリカとカナダの地方自治制度の大きな違いによるものと考えられる。運用実態調査分析の結果、北米都市においても日本と同様のマンション紛争が起こりはじめており、住民意見を取り入れる仕組みを持つシアトルにおいては、ゾーニング規制と裁量的審査の組み合わせにより1-2階程度の調整が、バンクーバーにおいては、容積移転を含めた開発協議制度の効果的な運用や住民意見の反映により、中高層エリアにおいて2階程度、ダウンタウンにおいて10m以上の高さ削減、約10㎡の標準階面積削減等の計画変更も見られた。
2: おおむね順調に進展している
米国100都市及びカナダ主要8都市の条例調査に基づく分類等を完了できた事や、各ケーススタディ都市における詳細な個別案件に関する詳細な分析など想定以上の成果が出た。一方で、平成24年度内に予定していたカナダ諸都市の実態調査は平成25年度4月に行い、成果報告として平成25年4月上旬に予定されている国際会議にて研究発表を行うため、おおむね順調に進展していると評価した。
本年度は、これまでの日本の課題や北米諸都市での実践を踏まえ、昨年度の研究成果と課題の整理、オーストラリア諸都市での運用実態調査を行う。
該当なし
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2013年度日本建築学会大会学術講演・建築デザイン発表梗概集F-1
巻: 2013年度 F-1 ページ: 未定
2012年度日本建築学会大会学術講演・建築デザイン発表梗概集F-1
巻: 2012年度 F-1 ページ: pp.551-552
The University of Tokyo Global Center of Excellence of Excellence for Sustainable Urban Regeneration Annual Report 2011
巻: Annual Report 2011 ページ: pp.677-682