研究課題/領域番号 |
24760507
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
佐藤 宏亮 早稲田大学, 理工学術院, 助教 (10449332)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 復興まちづくり / 漁業集落 / 社会資本 / 縮減のデザイン / 計画決定指標 |
研究概要 |
東日本大震災の復旧復興において、漁港や市場、加工施設等の社会資本の集約再編が議論されているが、漁村の成立要因でもある生活空間との一体性という視点が不足し、漁業と生活空間との相互関係を考慮した集約再編の有効な決定指標が存在しない。本研究では、財政状況や産業の再生のみを論拠とした集約再編の議論に陥ることなく、漁業と生活空間との一体性を考慮しながら、過剰になった社会資本を緩やかに縮減していくための有効な計画指標を得ることを目的として研究を進めた。 24年度は、三陸沿岸の被災地における定期的なモニタリング調査を行なった。漁業集落における漁港や市場、加工施設等の社会資本は漁業者の日常的な生活空間とも深く関わり、土木構造物による防災計画とともに、生活像の再構築を同時並行的に考慮していくことが必要不可欠である。しかし、現在の復興計画の策定過程においては巨大構造物による防災に主眼が置かれ、多くの漁業者が事業終了後の漁業集落としての生活像の変化を予測できないままに復興が進められているのが実情である。本研究では、漁業者へのヒアリング調査を行ないながら、事業終了後の集落の再生に必要となる集落の記憶や生活像の抽出、生活空間と漁業関連空間との相互関係などを把握した。 また、三陸沿岸地域における定期的なモニタリング調査と併行して、中小漁村集落を対象とした社会資本縮減に関する我が国の歴史的経緯と具体的な事例についても整理した。そのうえで、重点的に調査を行なう研究対象地を選定し、予備的ヒアリング調査を行いながら、地形や風土、人口や産業などの社会構造、漁業特性などに関する基礎情報の整理、漁業集落の集約再編にかかる経緯に関する資料調査を行なった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
東日本大震災の復旧復興が、当初の予測に反して遅々として進まず、未だ被災地においては混乱が続いている。そのため、漁港や市場、加工施設等の社会資本の集約再編の過程のモニタリングは復旧復興のプロセスと連動して遅れざるを得ない状況にある。一方で、漁業者の被災前の生活実態や、中小漁業集落を対象とした社会資本縮減に関する我が国の歴史的経緯と具体的な事例に関する情報収集は予定通り進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
東日本大震災の復旧復興が、当初の予測に反して大幅に遅れていることから、25年度は中小漁村集落を対象とした社会資本縮減に関する我が国の歴史的経緯と具体的な事例に関する事例分析に主軸を置きながら、被災地における復旧復興過程の継続的なモニタリングを行なっていく。三陸沿岸の被災地においては、ようやく行政による復興計画がまとまりつつある。比較的早く進捗しているいくつかの漁業集落においては、漁業者との意見交換を進めながら、漁村の成立要因でもある生活空間との一体性という視点から、過剰になった社会資本を緩やかに縮減していくための有効な計画指標について研究を進めて行く。
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次年度の研究費の使用計画 |
概ね24度と同等の研究費の支出を予定している。
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