研究課題/領域番号 |
24760507
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
佐藤 宏亮 早稲田大学, 理工学術院, 助教 (10449332)
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キーワード | 復興まちづくり / 漁業集落 / 社会資本 / 縮減のデザイン / 計画決定指標 |
研究概要 |
24年度の調査に引き続いて、三陸沿岸の被災地における定期的なモニタリング調査を継続して行なった。自治体の担当者や漁業者、漁業組合等へのヒアリング調査を通して、現状の復興まちづくりの進捗状況や、社会資本の再整備の状況を詳細に把握した。また、復興計画における漁業集落でこれまで営まれてきた生業への配慮や、教育、医療、福祉といった社会サービス、6次産業化を視野にいれた観光事業、交流事業などへの対応可能性がどのように検討されているのか、復興まちづくりのプロセスにおける課題を把握した。 比較的復興まちづくりが進んでいる漁業集落を対象として、漁業者との懇談会を開催する中で、集落の高台移転後の低地部の利用について検討した。また、漁業集落の成立要因でもある生活空間との一体性に焦点をあて、集落構造が大きく変化した後での漁業と生活空間との相互関係を再構成していくための方法についても検討を行った。復興計画が低地部の用地買収を公的に進めていくことや、事業制度の要件への適合が第一義的な課題となる中で、低地部の土地利用計画は必ずしも将来的な漁業と生活の一体性を考慮する中で描かれたものではない。そのため、事業終了後の低地部の利活用については、道路や防潮堤事業の残地を含めて、限られた低地部の有効活用や修景事業を通した土地の再価値化などが課題として浮かび上がってきた。 さらに、三陸沿岸地域における定期的なモニタリング調査と併行して、西日本沿岸の漁業集落における事前復興まちづくりの動向を調査し、本研究で得られた成果の将来的な事前復興まちづくりへの適応可能性についても検討を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初、2012年度には行政による復興計画がまとまり、この計画を受けて漁業者へのヒアリング調査、定期的なモニタリング調査を進めていく予定であった。しかし、復旧復興が、当初の予測に反して大幅に遅れていることから調査に不足があり、調査期間を1年間延期し、2014年度に継続して調査を続けることとした。
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今後の研究の推進方策 |
2013年度に行う予定であったヒアリング調査、モニタリング調査を、現地の復旧復興過程にあわせて2014年度も継続して行っていく。 中小漁村集落を対象とした定期的なモニタリング調査を行っていくとともに、事業終了後の低地部の利活用について、漁業者との懇談会を通して検討を行っていく。復興計画により集落構造が大きく改変された漁業集落において、これまでの生活像を継承していくために必要となる要素を漁村、漁港、漁場の3つのパラメータによって整理することで、復興まちづくりのプロセスを通じた社会資本の集約再編に係る計画指標の構築を目指す。 また、西日本沿岸の漁業集落における事前復興まちづくりの動向を調査し、東日本大震災の復興まちづくりの成果を将来的な事前復興まちづくりへと応用していく手法についても検討を進めていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
復旧復興が、当初の予測に反して大幅に遅れていることから調査に不足があり、調査期間を1年間延期し、2014年度に継続して調査を続けることとした。 2013年度に行う予定であったヒアリング調査、モニタリング調査を、現地の復旧復興過程にあわせて2014年度も継続して行っていく。そのため、未使用額は現地への出張旅費と研究データのとりまとめのための人件費等に充当することとしたい。
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