研究課題/領域番号 |
24760509
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
山田 悟史 立命館大学, 理工学部, 助教 (00551524)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | ドクターヘリ / 医療行為開始時間 / 救命率 / 救急医療 / GIS |
研究概要 |
12年度は,ドクターヘリ(DH)運用効果の可視化により,①運用方針に関わる資料の提示と,②関連施設の配置計画の検討を滋賀県を事例に行った。 ①では,任意地点の運用効果を医療行為開始までの短縮時間と救命率向上率から解析し,県内に網羅的に可視化した地図を作成した。短縮時間地図により,症例に限らずDH要請が有効な地域を明示した。また,救命率向上率地図により,大量出血時のDH要請が有効な地域を明示した。両地図は,DH要請の判断資料になり得る意義深い資料と言える。 ②では,場外離着陸場のランデブーポイント(RP)化と県内への基地病院配置の運用効果の検証を,4指標(A:短縮時間,B:救命率向上率,C:短縮時間×人口,D:救命率向上率×人口)を用いて行った。 場外離着陸場RP化の効果は,指標A:短縮時間の合計7.45%増,指標B:救命率向上率の合計18.47%増,指標C短縮時間×人口の合計19.80%増,指標D救命率向上率×人口の合計31.70%増となった。また,RP化候補77箇所中の20箇所のRP化により,全てをRP化した場合の約70%の運用効果を得られることを明示した。特に,宇曽川ダム公園,東洋紡績グラウンド,草津市市民グラウンドのRP化の運用効果が高くなった。これは,優先的なRP化が望まれる場外離着陸場を示す重要な結果と言える。県内への基地病院配置の運用効果の検証においては,第三次救急医療機関4か所毎に検証を行った,病院による運用効果の差は小さく,指標A:短縮時間の合計約3%増,救命率向上率の合計約9%増,短縮時間×人口の合計約6%増,救命率向上率×人口の合計が約11%増となった。 12年度は以上のよう,ドクターヘリの運用効果を短縮時間・救命率向上率と人口から可視化し,現場毎の要請判断に関わる資料の提示と,RP及び基地病院の配置計画の定量的な検討結果を提示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の計画では,12年度に運用効果の可視化手法の構築を行い,13年度に関連施設の配置計画の検討を行う予定だったが,12年度中に実施する事が出来た。そこで,13年度は当初の研究対象範囲を拡大し,現在検討が進められている関西広域連合を対象とし,配置計画の定量的な検討に取り組む予定である。
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今後の研究の推進方策 |
解析に必要な資料の収集と救急医療業務実務者の視点の考慮のために,関連する医療関係者との連携を深め研究を推進する。また,配置計画については,最適化モデル構築に関する有識者との連携を行い,研究を推進する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究対象範囲を当初の計画から拡大するため,当初の計画以上に大規模なGISデータの処理を実行可能なPCが必要である。そのため,大容量メモリを搭載したワークステーションを購入する。GISデータは,引き続き東京大学空間情報科学センターとの共同研究として借用する予定だが、一部年度が最新でないものがあるため市販データも購入する。また、GISデータとして記録されていない情報(詳細な道路網・着陸出来ない空地など)については,現地調査をもとにしたGISデータの作成を行うため,現地調査依頼用の謝金を執行する。同様に、計画全体の進行上、申請者が主催する建築情報・認知研究室に属する者に協力を要請するため,時間給での作業補助用の謝金を執行する。上記を主とするが,研究実行に伴う経費として,記録用メディア・PC関連機器・一般文具・現地調査用機材・書籍・論文審査料・国際会議参加費・旅費なども執行する予定である。なお前年度は未使用額31,195円が生じた。これは,前年度中に一般文具等を購入するよりも,本年度購入するPC分に当てた方が研究の推進上適切であると判断したためである。
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