本研究は,1.ドクターヘリ運用方針に関わる資料,2.場外離着陸場のRP(ランデブーポイント)化の運用効果,3.県内に基地病院を配置した場合の運用効果,以上に関する成果を得た。 1.ドクターヘリ運用方針に関わる資料においては,運用効果を短縮時間と救命率向上率と定義し,滋賀県内に網羅的に可視化した。作成した図から,短縮時間として運用効果を見た場合において,症例に限らずドクターヘリ要請の効果が高い地域と,大量出血に対する救命率の向上率として運用効果を見た場合において,ドクターヘリ要請の効果が高い地域を把握した。 2.場外離着陸場のRP 化の運用効果においては,生じた短縮時間と救命率向上率が提供可能な人口を算出し,短縮時間及び救命率向上の変化,短縮時間及び救命率向上と人口の関係の変化,RP化の運用効果が高い場外離着陸場を把握し,適正配置を提示した。 3.県内に基地病院を配置した場合の運用効果においては,滋賀県内の4か所の三次救急医療機関を候補に基地病院を配置した場合の運用効果の変化を把握し,適正配置を提示した。 なお本研究が用いた指標では,県内への基地病院配置の運用効果は,RPが現状のままの場合,指標①短縮時間の平均約4% 減,合計約3%増,救命率向上率の平均約6%増,合計約9%増,短縮時間×人口の全世代の合計6%増,救命率向上率×人口の全世代の合計が約11%増となった。また,基地病院の選択による運用効果の差は小さいことも把握した。対して,場外離着陸場をRP化においては,運用効果の高い上位20位の場外離着陸場をRP化しただけでも,全てをRP化した場合の70%の運用効果が生じ,県内に基地病院を配置した何れのcase よりも高いことを把握した。この事から,本研究が用いた4 指標においてではあるが,20 箇所のRP 化は,県内に基地病院を配置する場合と同程度以上の運用効果が得られると把握した。
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