研究課題/領域番号 |
24760511
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研究機関 | 米子工業高等専門学校 |
研究代表者 |
細田 智久 米子工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (40324496)
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キーワード | 都市計画・建築計画 / 近居同居 / 居住環境 / 歴史的町並地区 / 外観変化 |
研究概要 |
平成25年度は、歴史的町並み地区である島根県安来市母里地区の町並み写真調査と多世代居住例世帯のインタビュー調査を行った。 町並み写真調査は、母里地区の中心通り両側の119軒分の家屋外観を撮影し、現況把握を行った。これを平成24年度に実施した住民アンケート調査結果と照合(照合95軒)して整理図を作成した。この結果をデータベースとして、建築年代と駐車場位置からみた町並みの変化分析表などを作成し、詳しく分析を行った。 この結果から、町並みを構成する建物の状況では、建物階数は119軒中で、2階建てが91.6%、平屋が8.4%であることが分かった。2階建てには、中2階と思われる建物も含んでいる。ファサード形式は、平入が93.3%、妻入が6.7%で、2階建て平入がこの地区の歴史的な形式であることが分かった。建築年代と駐車場位置からみた町並み状況と変化の特色としては、まず建物間口は3間半がこの地区の歴史的な標準長さであることが確認できた。駐車場位置は、全95軒中48軒が「敷地内の表通り沿いに駐車場を持つ」とアンケート結果から判明している。このタイプは主屋と駐車場との関係から、「主屋の一部に駐車場を持つもの」「主屋と並列に駐車場を持つもの」「主屋をセットバックし駐車場を設けたもの」の3つに分類できた。 まとめとして、母里地区にある建物の約半数が敷地内の表通り沿いに駐車場を持つが、町並みファサードの変化に強い影響を及ぼす「A-3セットバックを伴うもの」は、中心通り両側95軒の16%で、町並み全体としてはまだ大きな影響を及ぼす割合にはいたっていなかった。 関連した歴史的町並み地区の調査として、島根県大田市大森地区における外観変化、町並み修景についての実態調査も実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度は、歴史的町並み地区である島根県安来市母里地区の町並み写真調査と多世代居住例世帯のインタビュー調査、関連した歴史的町並み地区の調査を実施できた。加えて、島根県大田市大森地区における外観変化、町並み修景についての実態調査も実施できた。さらに、先行して調査を実施していた地区との比較考察として、島根県安来市広瀬地区の研究成果と母里地区との比較考察も論文としてまとめることができた。これらの研究成果として、平成25年度中に以下の学術論文と図書を執筆し、研究成果を公表することができた。 1)細田智久、島根県安来市母里と広瀬の歴史的な町並み地区での多世代居住への意識に関する比較考察、日本建築学会大会学術講演会梗概集(北海道)、pp.1433-1434、2013.8 2)石指友基・細田智久、母里地区における建築年代別にみた外観変化と住民意識調査の分析、歴史的町並み地区における居住環境に関する調査及び持続可能な多世代居住例の分析 その3、日本建築学会中国支部研究報告集第37巻、No.502、pp.441-444、2014.3 3)細田智久・熊谷昌彦、中国総研・地域再発見BOOKS2 中国地域のよみがえる建築遺産、石見銀山のなかむら館と古民家群pp.223-235、新たな活用を待つ興雲閣pp.248-250、2013.5出版、出版先 公益社団法人 中国地方総合研究センター
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度中に多世代同居例世帯へインタビュー調査を実施済みである。平成26年度は、その多世代同居例への追加調査として、建物の実測調査などを実施し、居住環境と家族構成の経年変化にともなう使われ方の変化やプライバシー確保の方法についての実態を明らかにする。これらの分析より、歴史的町並み地区を構成する住居における円滑な同居や次世代への住居の継承方法についての具体的な工夫点を明らかにする。
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